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10万ゲノム解析プロジェクト

  • 14 January 2016
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ゲノムとは?

最近、ゲノム、DNA、遺伝子・・・といった言葉をよく耳にしますが、そもそもゲノムとは何なのか、みなさんはご存知でしょうか?辞書によると、「ある生物種を規定する遺伝情報全体のこと」とあります。

 

生物体を構成する基本単位である細胞の中には核があり、核の中には染色体があります。染色体を伸ばすと、細い糸が何かに巻き付いた状態になっており、この細い糸がDNAです。DNAが巻き付いている相手はタンパク質で、つまり染色体はDNAがタンパク質に巻きついたもの。そして、この細い糸のDNAには、ヒトをつくる設計図にあたる情報、すなわち遺伝情報が書かれた部分があり、これが遺伝子にあたります。

 

ヒトのDNAには、約2万2千個の遺伝子があると言われていますが、遺伝子ではない部分も存在します。その部分も重要な遺伝情報として捉える必要があり、これらの遺伝子と遺伝子以外の部分を包括した遺伝情報全体を「ゲノム」と呼びます。一説には、ゲノムとは"gene"(遺伝子)と"chromosome"(染色体)を掛け合わせた造語だという説もあるようです。

 

このゲノムの機能や構造を分析する学問分野がゲノミクスであり、DNAの塩基配列を読み取る「シーケンス技術」や、生物学データを情報科学の手法によって解析する「バイオインフォマティクス」を駆使して、ゲノム情報の解読や整理、翻訳、分析を行います。個々の遺伝子構成を知ることにより、特定の遺伝子疾患にかかりやすい体質を把握でき、個人に応じた最適な治療法の選択や、精度の高い医療提供の実現につながると考えられています。遺伝子検査の結果を受け、米国女優のアンジェリーナ・ジョリーが、現在は健康であるものの、将来のリスクを考えて予防的に乳腺切除手術を選択したことは世界的なニュースにもなりました。

 

ゲノム解析プロジェクト

ゲノム情報の解読や分析を、より優れた正確な診断や治療につなげようと、国家レベルでの大規模なゲノミクス・プロジェクトが各国で立ち上がりました。アイスランドが先陣を切り、米国のプレシジョン・メディシン・イニシアチブ(個別化医療)、ミリオン・ベテラン・プログラム(退役軍人のゲノム情報解読)、サウジアラビアのヒューマン・ゲノム・プロジェクトなどが一例で、日本でも、アカデミアと臨床現場、産業界が一体となってガン患者の遺伝子異常に合った治療薬や診断薬の開発を目指す、産学連携全国ガンゲノムスクリーニングプロジェクト「SCRUM-Japan」が、2015年2月より始動しています。

 

Genomics Englandのロゴ

英国では、Genomics England(ゲノミクス・イングランド)が英国保健省管轄下に設立され、2012年より"100,000 Genomes Project"(10万ゲノム解析プロジェクト)を開始しました。患者への恩恵、同意に基づいた倫理的で透明性のあるプログラムの創出、新しい科学的発見や医学的洞察の実現、英国のゲノミクス産業の発展促進を目指しています。

 

 

 

10万ゲノム解析プロジェクトでは、およそ7万人のNHS(National Health Service、国民保健サービス)患者と、その家族から得られた10万のゲノム情報を解析します。特に希少疾患患者とその家族、ならびにガン患者を対象としています。 このプロジェクトの目的は、従来の治療方法を新しい形に変えていき、NHSに新たなゲノム医療サービスを創り出すことです。それまで診断が確立されていなかったところに、患者が診断を受けることができるかもしれません。今後、革新的でより有効な治療が開発される可能性を秘めています。

 

10万ゲノム解析プロジェクトは現在、同様のゲノム解析プロジェクトの中で、世界最大規模の国家プロジェクトとなっています。プロジェクト活動は拡大の一途をたどっており、現在のところ5000の全ゲノム配列情報が解析され、NHSのゲノミクス医療センターは引き続き希少疾患患者やガン患者を募集しています。2015年6月には、プロジェクトに参加する最初の8000人患者のゲノム情報を解析する企業として4社が選出され、ゲノミクスデータの理解を進め、臨床解釈と治療効果のさらなる向上を目指し、研究者と臨床医を束ねる"Genomics England Clinical Interpretation Partnership"(ゲノミクス・イングランド・臨床解釈パートナーシップ)も立ち上げられました。

 

Genomics Englandが、どのようにゲノム配列データを個人の健康のために使用するのかアニメーション動画で紹介していますので、ぜひご覧になってください。
Data in the 100,000 Genomes Project(英語)

 

英国におけるゲノミクス産業

世界のゲノミクス市場は、試算にばらつきが見られるとは言え、約80億ポンド(1兆4800億円)以上の規模があり、各国が国家ゲノム解析プロジェクトを立ち上げていることからも、今後もゲノム情報の規模は増大すると予測され、データ分析や臨床解釈などの関連サービス需要は高まると見込まれています。

 

英国のゲノミクス産業は、世界市場に対し約10%の寄与率、現在約0.8億ポンド(148億円)の規模と言われていますが、Genomics Englandや今後の産業への投資により、年率20%の成長率が見込まれています。英国のゲノミクス産業は小規模企業が多くを占める特徴があり、大学・研究機関からのスピンアウト企業が多く、これは英国にはゲノミクスの強力な研究基盤があることを反映しています。

 

駐日英国大使館・総領事館では、「Innovation is GREAT~英国と創る未来~」キャンペーンの一環として、2016年春にGenomics Englandならびに英国のゲノミクス産業をご紹介するイベントを企画しています。ゲノムは今後、多様な発展が期待される分野であり、この分野における日英間の研究提携や商業交流が、両国民を含む世界中の人たちをより良い健康に導いてくれることを願っています。

 

英国総領事館 貿易・対英投資部
ライフサイエンス 商務官 小池 綾

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