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今「アツイ」英国の人工知能

  • 07 April 2016
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駐日英国大使館・科学技術部は、ライフサイエンス、エネルギーと環境、気候変動、ICT(情報通信技術)、物理学、宇宙、海洋など広範囲にわたる分野で、英国と日本の研究分野の強みを結び付け、サイエンス・コラボレーションの強化を支援しています。今回は、その活動の1つをご紹介します。

 

Google製人工知能が囲碁のトップ棋士を破ったニュースは、多くの方がニュースなどで目にしたかと思います。世界を驚かせたこの人工知能、実を言うともとは英国のベンチャー企業が手掛けています。ユニバーシティー・カレッジ・ロンドンの学生が2010年に創設したディープマインド社は、数々のベンチャーキャピタルから投資を受け、2014年、Googleに買収されました。

 

英国で人工知能と言えば、アラン・チューリングを思い出す人も少なくないかもしれません。チューリングは、第二次世界大戦時にドイツ軍の暗号エニグマを解読するコンピュータを発明した天才数学者。2015年にはベネディクト・カンバーバッチ主演で映画化されました。かの人の名を掲げた人工知能研究所「アラン・チューリング・インスティテュート」が、2015年11月にロンドンの大英図書館内に設立されたのです。研究員は150人以上。総額74億円もの資金は、英国政府のみならず英国企業の期待の大きさを表しています。

 

セクターを横断しての研究開発は、英国の強みです。人工知能においても、製造、医療、交通インフラ、発電所に資源探査など、他分野と連携をすることでスピード感のあるイノベーションを目指しています。アラン・チューリング・インスティテュートのマーク・ジローラミ業務執行取締役は、ベーシックからトランスレーショナルリサーチまで幅広く、そしてバランスのとれたポートフォリオを持ちつつ、社会的課題にも対応する組織にしていきたいとコメントしています。

 

前置きが長くなりましたが、要するに英国の人工知能は今「アツイ」のです。英国における人工知能の研究と、日本のロボット技術のマッチングができないだろうかと、2016年2月半ば、日本を代表するロボット専門家6人が使節団として英国を訪問しました。アラン・チューリング・インスティテュートをはじめ、英国で勢いのある企業、大学研究所を視察し、研究開発の最新動向を調査。そして、今後の日英連携の可能性について模索しました。

 

駐日英国大使館・在英国日本大使館共催「日英ロボット・AIセミナー」の様子

訪英最終日には、駐日英国大使館と在英国日本大使館との共催で「日英ロボット・AIセミナー」を開催。日英両国を代表する専門家が集い、それぞれの研究を紹介しました。両国間の研究交流を促すと共に、研究者同士が具体的な協力分野・課題を検討し、今後提携を結んでゆく発起点となりました。ロボット・AIを扱う大学研究所、企業、ロボット政策担当の政府関係者など120人以上の方々にご参加いただき、NHKはじめ多くのメディア関係者も集まりました。

 

 

オックスフォード大学のアンダーズ・サンドバーグ博士によると、人工知能が進化すれば、今後全ての仕事の47%はロボットに奪われると提起しました。しかし、人工知能が人間社会のモラルやルールを理解するのは簡単ではありません。手術ができても、患者のプライバシーや心のケアができなければ、医者の代わりにはなれないのです。「知能が高い」ことと、「価値観を理解する」ことは、必ずしも同義ではない。新しいアプローチが必要だと訴えました。

 

ケンブリッジ大学のロベルト・チポラ教授は、自動運転車用ロボットヴィジョン「セグネット」を開発しました。道路の映像をリアルタイムで読み込んで、瞬時に空や建物、柱、標示、標識、道路、車、歩行者、バイクなど12のカテゴリーに分類します。ディープラーニングという技術が応用されたこのソフトウェアは、背景の音も認識することができ、不測の事態などへの対処も今後期待されています。

 

オックスフォードシャー州自治体のルーウェリン・モーガン部長は、ロボットとAIの研究・開発を支援する地域の取り組みを紹介しました。自治体初のベンチャーであるモボックス社は、機械学習と人工知能を取り入れた道路渋滞解消ソフトウェアを開発しました。ビッグデータ分析から導く未来予測と、実際の道路状況から送られるライブデータを人工知能が自動的に解析し、最も渋滞の少ない道を案内してくれます。オックスフォードシャー州は、英国で初めて公道での自動運転車の実証実験を行いました。

 

英国と日本の研究者が議論する中で、多くの発見もありました。例えばロボット研究に対する意識、興味の違いです。この分野に限ったことではありませんが、「この技術は私に何をしてくれるんだろう」と考える傾向が英国にはあるようです。技術がどんなに先進的だとしても、応用が必ずしもクリアではない人型ロボットやヒューマノイドなどに対する民間の理解度が低いと言われています。古くからアニメや漫画でロボットに親しんできた日本とは大きく違いますね。ロボットに対する国民感情や、実用する際の規制緩和に関しては、日英両国の政府関係者が力を合わせて、最良の政策ソリューションの展開を目指しています。

 

英国と日本それぞれが抱える社会的課題にも、連携のヒントがありました。高齢化社会とインフラ、人災・自然災害やエネルギー安全保障など、両国が直面する課題は似ています。今後すぐにでも協力が必要な分野として挙げられたのは、アクティブエイジング(活力ある高齢化)。英国が得意とするパターン認識とビッグデータ解析が、日本の強みである機械学習、そして人とロボットの協調と結びつけば、リハビリや見守りなど可能性は飛躍的に広がると議論は大いに盛り上がりました。

 

最後になりますが、ご参加いただいた東京大学の中村仁彦教授、大阪大学の石黒浩教授、早稲田大学の尾形哲也教授、立命館大学の谷口忠大准教授、NICT(情報通信研究機構)の杉浦孔明上級研究員、プリファードネットワークス社の比戸将平首席研究員に心から感謝します。彼らの知見と行動力がなければ、今回の企画を実現することはできませんでした。今後もさらなる日英コラボレーションが創出されるような環境作りを目指し、みなさまと共に活動できることを期待しています。

 

駐日英国大使館 科学技術部
科学技術担当官(エネルギー・先端技術) 大野 真美子

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