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日英両国が重要課題に掲げるIoTの現状とは

  • 09 March 2017
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モノのインターネット(Internet of Things: IoT)IoTとは、「Internet of Things」の略で、「モノのインターネット」と訳されます。つまり、あらゆる「モノ」がインターネットにつながり、暮らしを便利にしてくれたり、様々な作業の効率を良くしてくれたりするというものです。IoTという言葉は1999年に英国人のケビン・アシュトンが初めて使ったとされ、当時はID情報を埋め込んだタグを使った商品管理システムをインターネットにたとえたものでしたが、スマートフォンやクラウドコンピューティングが広まるにつれ、現在の意味に変わっていきました。

 

日英ともに、IoTをこれからの国家の経済成長を支える重要課題のひとつと位置づけており、製造業や自動運転の分野などで研究開発が活発に進められてきました。今後の傾向としては、住宅への導入やヘルスケア分野での利用など、人々の生活の質を高めるための研究開発が注目されています。

 

英国におけるIoTの現状とは

ロンドンの街並みとテムズ川英国におけるIoTは、近年大きく躍進し、活気を帯びたエコシステムを形成しています。その裏付けとして、2015年度、英国はIoTの研究出版物のランキングにおいて世界で5位にランクインしました。さらに135の特定プロジェクトがあり、資金調達額は1億2,200万ポンドにのぼります。

 

 

 

公的資金は、サイバーセキュリティ、ヘルスケア、個人情報、輸送といった分野に対し積極的な投資を行っており、個人投資家の資金は、ソフトウェア、スマートホーム、スマートビルディングなどに向かっています。

 

しかしながら、IoTのインパクトを最大化するにはまだまだ課題もあります。たとえば、ベンチマークデータや権威ある市場評価が存在しない点、相互運用性が定着していない点、参入コストの問題、民間部門の資金が都市に集中する点、顧客開拓の問題などの課題が挙げられます。

 

英国のIoTの発展を加速させる「IoTUK」とは

こういった問題点を解決し、英国のIoT発展を加速させるために設立されたのがIoTUKです。英国政府は、2015年にIoTに3,200万ポンドを投資することを決め、その一環として、デジタルカタパルト内にIoTを推進する組織「IoTUK」を設置しました。ちなみに「カタパルト」とは、英国において先端技術や科学における優れたアイディアを製品やサービスとして世に送り出すために設立された公的な拠点「カタパルトセンター(※)」のことを指します。IoTUKが掲げる「3つの柱」は、1)認知と採用を増やす、2)IoTのインパクトを機能させ増幅する、3)実用的なIoTソリューションを進める、であり、「英国の企業や公共部門におけるIoTの開発と採用のペースを高めること」を目的としています。

 

スマートウォッチ英国ではこれまで、主に製造業の分野で応用されてきたIoTですが、近年は、人々の生活への応用が注目されています。たとえば、糖尿病患者に対して、ウェアラブルセンサーを身に付けて身体の状況をモニタリングすることにより、生活習慣を見直すことを支援するというプロジェクト。認知症患者に対しては、より長く自宅で生活できるよう、医療機関や介護者が患者の様子をリアルタイムで知ることができる技術的なサポートを行うとともに、介護者が介護疲れで疲弊することがないよう自身の身体の状態をモニタリングできるようにするプロジェクト、など。現在、こういった様々なIoTの応用実験が、被験者の協力を得ながら行われています。

※「カタパルトセンター」についての詳しいブログ記事はこちら

 

日本におけるIoTの現状

東京タワーと東京の街並み日本政府でもIoTへの取り組みを重要視しており、2016年度にはIoT関連予算約100億円を各関連省庁から拠出しました。また、産学官が主導する「IoT推進コンソーシアム」を2015年に発足。IoTに関する技術の開発・実証および標準化などの推進をはじめ、未来への投資を促す環境作りを行っています。

 

 

 

また、10年先を見通した5年間の科学技術の振興に関する計画である、第5期科学技術基本計画においては、"世界に先駆けた「超スマート社会」の実現(Society 5.0)"を重要テーマのひとつに掲げました。これはネットワークやIoTをあらゆる分野に広げ、経済成長や健康長寿社会の形成、さらには社会変革につなげていこうというものです。ここで語られている「超スマート社会」とは、サイバー空間と現実社会が高度に融合した姿とされています。その取り組みのテーマともいうべき「Society 5.0」には、「狩猟社会・農耕社会・工業社会・情報社会に続くような新たな社会を生み出す変革を科学技術イノベーションが先導していく」という意味が込められています。

 

このように、日本においても政府や企業を中心にIoTへの取り組みは本格化しており、すでに大手メーカーでは、エネルギー、製造業、輸送、ヘルスケア、スマートホームなどの分野でアプリケーション開発に取り組んでいます。

 

優れたIoT技術に注目し、ソフトバンクが英国企業ARM社を買収

半導体日本の通信キャリア大手であるソフトバンクグループ株式会社は、2016年7月に英国のARM Holdings plc(ARM)を買収しました。

英国のケンブリッジに本社を置くARMは、スマートフォンなどに使う半導体やCPUを設計し、そのライセンスを世界の半導体メーカーに提供している会社です。「世界中のスマートフォンの97%がARM設計のチップを搭載している」(ソフトバンク代表取締役社長 孫 正義氏)と言われるほど圧倒的なシェアを誇っています。

 

孫氏は、この投資の目的を「IoTがもたらす非常に重要なチャンスをつかむことであり、ARMは、当社グループの戦略において重要な役割を果たしていく」と述べました。また、ARMは「IoTにおける優れた能力を有し、イノベーションに実績のある世界有数のテクノロジー企業である」ともコメントしています。

 

ソフトバンクは、今回の投資について「当社の英国に対する強いコミットメントと、ケンブリッジにおける豊かな科学技術の才能集団がもたらす競争上の優位性を特長としています」と評価し、向こう5年間で英国におけるARMの従業員を倍増させるという姿勢を示しました。

 

この投資からもわかるように、英国には海外の産業界が注目するべき高度な技術と知見を有した企業や団体が数多くあります。

 

IoTへの国を挙げての積極的な取り組みを推進する日本と英国。通信インフラのプロトコルの標準化や新サービスの創出、医療分野での利用など、様々な分野で産学官の連携が期待されています。

 

ライター 田中 実典

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