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欧州最大規模の科学フォーラム「ESOF 2016」がマンチェスターで開催

  • 25 August 2016
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2016年7月23日(土)から27日(水)まで、7回目となる科学フォーラム「ESOF 2016(ユーロサイエンス・オープン・フォーラム)」が英国・マンチェスターで開催されました。開催期間中、街中にESOFのバナーが掲げられ、大学や図書館などでは、大人から子どもまで楽しめる科学イベント「Science in the City」が同時開催されました。

 

ESOF 2016では、科学者・研究者をはじめ、政府関係者、ビジネスリーダー、メディア関係者やジャーナリストなど、様々なセクターからの参加があり、来場者数は86カ国3,580人に達しました。また、17カ国150人のボランティアにより運営がサポートされました。まさに、ESOFの2つの特徴である"International"かつ"Multidisciplinary"を象徴するフォーラムになりました。

 

5日間で約150ものセッションが実施されましたが、その中で印象に残ったいくつかをご紹介します。

 

オープニングセレモニー

7月24日(日)のオープニングセレモニーは、マンチェスターが発祥となった産業革命から、2010年ノーベル物理学賞を受賞したグラフェンの発見まで、世界を科学でリードしてきたマンチェスターの紹介をはじめ、欧州宇宙機関(ESA)所属で英国初の国際宇宙ステーション(ISS)搭乗宇宙飛行士、ティム・ピーク氏によるビデオメッセージのほか、ジョドレルバンク天文台、南アフリカ、オーストラリアを中継で結んだ大型電波望遠鏡(SKA)プロジェクトの紹介、ゲノム編集技術(CRISPR/Cas9)に関するサイエンスディベートなど、ホットトピックを交えながら盛り沢山の内容でした。

 

なかでも私たちを一番驚かせたのは、司会を務めたブライアン・コックス教授のファシリテーションであり、会場を魅了する彼のコミュニケーションスキルの高さは目を見張るものがありました。今後、彼のように第一線の研究者であり、メディアにも精通し、卓越した科学コミュニケーターが現れることが、日本において科学と社会の距離を縮める一助になるのではと思いました。

 

7月25日(月)に実施されたセッションの1つで、英国保健省英国主席医務官代理、ジョン・ワトソン教授らが登壇した"The next plague – preparing for global pandemics"では、今後起こりうるパンデミックに対してエボラでの教訓を生かし各国が十分に備えること、対応策を示した長期プランの作成やグローバルガバナンスの必要性が訴えられました。また、世界保健機関(WHO)と協力して世界で何が起こっているのかを把握すること、研究コミュニティ、政府、企業が一体となってワクチンの開発を進めること、持続可能な支援の仕組みが必要であることなどが強調されました。各国が連携し効果的なコミュニケーションを取りながら、情報をオープンにしてメディアを通し、科学的根拠に基づいた正確な情報を伝えることが大事だとまとめました。

 

また、ESOF 2016開催直前の6月23日(木)、英国は国民投票でEU離脱の是非を問い、結果はEU離脱という選択となりました。Nature Researchによると、英国内の研究者の83%は離脱を望んでいないという調査結果も報告されるなど、科学コミュニティにとってEU離脱=Brexitは大きな衝撃でした。この結果を受けて、ESOF 2016 Programme Committee ChairであるJerzy Langer教授からは、「我々科学者は、政治的・地理的境界を超えて、科学のルールや価値観を共有するひとつの大きな家族である」とのメッセージが出されました。

 

"Britain’s biggest experiment: the prospects for scientific collaboration post Brexit"の様子

ESOF 2016では、Brexitに関するセッションが急きょ企画され、大学、企業、王立研究所、EuroScienceなど多様なスピーカーによる、"Britain’s biggest experiment: the prospects for scientific collaboration post Brexit"を最終日に実施。会場には多くの参加者が詰めかけました。セッションでは、「科学だけでなく、食料、経済、物流、金融などEUの中で行われていることを市民一人一人が正確に理解しなければならなかった」と問題提起されました。

 

 

また、テリーザ・メイ首相が表明したメッセージ"Brexit means Brexit"に対しては多くの議論がありましたが、現在置かれている状況とBrexitにより今後起こりうる影響を直視し、科学コミュニティ、ビジネスコミュニティ、政府が一体となって効果的なコミュニケーションを図り、正しいアウトカムを導く必要があることが強調されました。さらに、EU全体で取り組んでいる"Horizon 2020"などの研究資金、EU内での共同研究や科学者の行き来などを今後も確保する必要があるとまとめられました。

 

クロージングセレモニー

閉幕セレモニーの中で、ESOF 2016 ChampionであるDame Nancy Rothwellマンチェスター大学学長が、改めてBrexitについて言及しました。「英国が政治的にEUを離脱することになったとしても、UKにとって、科学コミュニティにとって、EUの存在はとても重要であり」、そして、「Brexitによってどんな結果がもたらされようとも、マンチェスターは欧州の、ESOFの、EuroScienceの一部として残り続けるでしょう」と締めくくりました。

 

 

ESOFのバトンはマンチェスターから2018年の開催地となるフランス・トゥールーズへと渡されましたが、EUにおける科学の発展にとって、英国の協力はなくてはならないものであることに変わりはないでしょう。

 

日本科学未来館/ESOF 2016 Delivery Team
谷村 優太(Yuta Tanimura)

日本科学未来館/ESOF 2016 Delivery Team 谷村 優太(Yuta Tanimura)

 

 

 

 

 


 

「ESOF 2016」の詳細は、イベントページでご確認ください。

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