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グローバルヘルスを考える

  • 14 July 2016
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「地球規模課題」と聞いて、みなさんはどのようなことを思い浮かべるでしょうか。環境問題、地球温暖化、エネルギー問題、食糧問題、飢餓貧困問題、生物多様性・・・なかでも2015年から2016年にかけて、「グローバルヘルス」という言葉がニュースで取り上げられるようになってきました。グローバルヘルスとは、国や地域だけでは解決できない健康や医療などの課題に対して地球規模での協力や連携により解決方法を探ることを言います。

 

今回は、「グローバルヘルス」に焦点を当ててご紹介します。

 

島国Nipponも世界と繋がっています

エボラウイルス

エボラウイルス

2014年夏、日本では69年ぶりにデング熱の国内感染が確認され、海外での感染症だと思っていたのに・・・と驚いた人も多いかもしれません。また、西アフリカ地域におけるエボラ出血熱の感染拡大に伴い、海外に渡航する人への注意喚起や、空港や港における健康相談など、感染防止に向けた水際対策が強化されるようになりました。

2015年韓国において、MERSコロナウイルスの感染拡大が大きなニュースになり、この年韓国を訪れる外国人観光客は激減し、観光産業は大打撃を受けました。オリンピックイヤーとなる2016年、開催国のブラジルではジカ熱が流行し、渡航に際し不安を抱いている人も少なくありません。

 

 

これまで感染症の発生を軽減するために、人は叡智を結集しワクチンや抗菌薬を開発し、多くの感染症を減少、克服してきました。現在までに、世界中で約200種類の抗菌薬が発見・開発されていますが、1980年代から、長期に渡る開発に投資しても耐性菌出現とのイタチごっこが続くことや、マーケットとなる先進国での市場原理が働かないなどの理由により、新たな抗菌薬の研究開発は減少の一途をたどってきました。しかし、グローバル化が進み、誰もが簡単に世界を行き来できる時代において、輸入感染症が増加するなど感染症も国境を越えて拡がりを見せています。また、抗菌薬の多用や不適切な使用により、抵抗性を獲得した細菌やウイルスが確認されており、薬剤耐性菌による感染症の蔓延は新たな脅威となっています。

 

感染症が限られた国や地域だけでなく世界中で爆発的に広まる=パンデミックにならないために、英国や日本ではどのような対策がとられているのでしょうか。

 

英国の情勢
世界で初めての抗生物質の発見は、1928年、英国の細菌学者アレクサンダー・フレミングによる"ペニシリン"の発見です。これにより人類に大きな貢献をもたらし、1945年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

 

2013年から2014年にかけて英国内で4,200万錠の抗菌薬が処方されています。その量は過去10年間で14%も増加し、現在の医療において安易に抗菌薬を多用していると報告されています。また、45%の農場で動物に対して抗菌薬が使用されています。

 

このような抗菌薬の多用や不適切な使用(単剤での投与や治療の中断など)によって、いわゆる菌交代現象が起こり、その結果、薬剤耐性菌が選択され、人類が対応する術を持っていない多剤耐性菌が世界に拡大するという危機的状況を加速しています。

 

2016年5月に発表された政府諮問調査機関である「Review on Antimicrobial Resistance」の調査報告書"Tackling Drug-Resistant Infections Globally: final report and recommendations(※)"によると、抗菌薬が効かない感染症の流行によって、2050年までに年間1000万人を死に至らしめる可能性がある、とのことです。地球規模での薬剤耐性菌の増加を防ぐために、薬剤耐性菌を取り巻く現状と対策を世界中に周知させることが必要だと訴えています。

英語版PDF(2.3MB)
 日本語版要約Word(331KB)

 

英国政府は薬剤耐性菌の研究開発資金として、グローバル基金に5,000万ポンドを支援し、世界保健機関(WHO)や世界銀行などの国際パートナーとの協調を積極的に進めています。

 

製薬会社も新規抗菌薬の研究開発の必要性を認識し、英国に本社を置く大手医薬品企業グラクソ・スミスクライン社をはじめ、世界80社以上の製薬会社が、政府に抗菌薬の研究資金の提供と開発支援を求めています。

 

また、感染症対策への貢献として、英国の行政機関ビジネス・イノベーション・技能省(BIS)は、ジカウイルスの特性や感染のメカニズムの解明、診断の迅速化、抗体解析の開発、小頭症などの神経疾患との関連性などの研究を推進するために新たな助成金を創設し、総額400万ポンドの研究支援を発表しました。

 

国内における公的資金の活用や、産学官が一体となった研究の推進、国際社会との協働・協調により、英国は先進的な役割を担っています。

 

日本におけるグローバルヘルス元年の幕開け
伊勢神宮訪問時のG7首脳

2016年5月に開催されたG7伊勢志摩サミットでは、薬剤耐性菌対策の強化、人や動物における適切かつ適正な抗菌薬使用の要求、薬剤耐性に関する国家行動計画の策定と支援、研究開発・イノベーションの推進などを発表しました。さらに、9月のG7神戸保健大臣会合でも国際的な保健課題についての議論がもたれる予定です。2016年は"日本におけるグローバルヘルス元年"の幕開けと言えるでしょう。

 

 

今後、国際機関と協調しながら、グローバルヘルスの課題解決に向けた日本のイニシアチブと持続的な貢献が求められています。

 

ESOFにおけるグローバルヘルス
ESOF 2016 in Manchester

2016年7月23日(土)から27日(水)まで、英国マンチェスターで開催される欧州最大規模のサイエンスフォーラム「ESOF 2016 (ユーロサイエンス・オープン・フォーラム)」においても、グローバルヘルスをテーマにいくつかのセッションがもたれます。なかでも、開催3日目の25日(月)に実施される"The next plague – preparing for global pandemics"のセッションでは、英国保健省ジョン・ワトソン教授ら各国専門家が登壇し、パンデミックに寄与する要因、民間企業や政府の役割を探りながら、将来発生し得る感染症への対策やキーアクションなど幅広い視点から議論します。

 

2016年を機に、地球に住む全ての人の"将来"に目を向け、国際社会がより一層協調することでグローバルヘルスにおける成果が上がり、新たな道が拓けていくことを願っています。

 

日本科学未来館/ESOF 2016 Delivery Team
谷村 優太(Yuta Tanimura)

日本科学未来館/ESOF 2016 Delivery Team 谷村 優太(Yuta Tanimura)

 

 

 

 

 


 

「ESOF 2016」の詳細は、イベントページでご確認ください。

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