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地震防災・減災分野における日英研究協力

  • 15 September 2016
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2015年3月、宮城県仙台市で開催された「第3回国連防災世界会議」において、2015年から2030年における国際的な防災・減災に関する枠組、「仙台宣言(Sendai Declaration)」が採択されました。これは、2005年に採択された兵庫行動枠組をさらに改善することを目的としたものです。今回、「仙台宣言」と合わせて採択された枠組である「仙台防災枠組 2015-2030(Sendai Framework for Disaster Risk Reduction 2015-2030)」は、「より良い復興(Build Back Better)」を合言葉に、国際的な研究協力と実務連携をしていくことで、広範な分野におよぶ予防的アプローチの推進を推奨しています。この世界的な枠組を通して、英国と日本をはじめとする防災・減災分野での先進国が、技術開発や移転などの面で重要な役割を担っていくことが期待されています。
※参考:第3回国連防災世界会議における成果文書の採択

 

近年、地震防災分野における日本と英国の研究協力は、非常に活発に行われています。2011年の東日本大震災を契機に、地震動による被害に限らず、巨大津波による被害にも注目が集まっています。例えば、英国の構造技術者協会により組織された"Earthquake Engineering Field Investigation Team(EEFIT)"は、東北大学や京都大学、土木学会を含む日本の地震・津波研究者と協力し、東日本大震災後の災害被害調査、報告書の作成・配布、研究報告会の開催などを行うことで、地震と津波被害軽減に関する知見を世界に広める役割を担っています。

 

このような地震被害調査および研究協力は一過性のものではなく、震災後も継続して行われています。例えば、2012年には、日英の防災関連分野におけるトップレベルの専門家が招かれ、「英国の災害研究の動向と日英協力」と題したセミナーが、駐日英国大使館主催で開催されました。また2013年、EEFITは東日本大震災による東北地方の復興の試みと進展を理解するため、調査団を日本に派遣しました。ごく最近では、2016年4月に起こった熊本地震へもEEFITの調査団が派遣され、日本の研究者のサポートを受け、地震調査が行われました。

 

研究機関レベルでの日英国際研究協力の例として、ユニバーシティー・カレッジ・ロンドンのInstitute for Risk & Disaster Reductionと東北大学の災害科学国際研究所、ブリストル大学のCabot Research Instituteと京都大学の防災研究所が挙げられます。世界規模での取り組みが必要となる気候変動問題と同様に、防災・減災分野も大学間における共同研究の重要な課題のテーマとして考えられています。また、「仙台宣言」採択直後には、京都大学防災研究所の主導により、新たな国際的大学間防災研究協定の枠組となる"Global Alliance of Disaster Research Institutes"が設立されました。これには多くの日本と英国の研究機関が参加しています。

 

今後の防災・減災分野の研究展望
近年の地震災害を見ると、東日本大震災の場合、地震によって引き起こされた巨大津波や沿岸部の軟弱地盤における液状化被害が甚大な被害をもたらしました。2016年4月に発生した熊本地震においても、余震・本震による2度の震度7の地震動による被害、地震により引き起こされた大規模土砂災害に伴うインフラへの被害は深刻であり、地域社会への社会的および経済的影響を考慮した防災・減災対策が今、強く求められています。このような連鎖的に起こる自然災害の危険度(ハザード)を適切に評価するには、地震学、地震工学、津波工学、地盤工学など多様な学術分野にわたる知見を総合的に組み合わせたハザード・リスク解析法を確立することが急務となります。また、災害の連鎖に着目した研究やその不確実性の評価など、さらなる研究が必要とされる分野が存在します。

 

英日災害研究ワークショップの様子

2016年8月には、日英研究者間での研究協力の促進を目的として、「日英災害研究ワークショップ:地震と津波のアセスメントとリスク分散」が駐日英国大使館で開催されました。これはブリストル大学、ユニバーシティー・カレッジ・ロンドン、京都大学、東北大学の研究機関が主体となり催されたもので、特に地震によって連鎖的に引き起こされる複合最大のメカニズムの解明・モデル化に関する研究協力を推進することを目標として開かれました。ワークショップには、上記4大学からの研究者に加え、東京大学の研究者や港湾分野、保険・再保険分野、原子力分野の実務者の方々にも参加していただき、幅広い学術分野にわたる活発な議論と情報交換が行われました。

 

今回のワークショップでも、地震動と津波のハザード・リスクを統合してモデル化・評価する新たな手法や、最新の観測技術・観測網(例:防災科学技術研究所が推進する津波早期警報システム、S-net)に関する研究・技術開発、スーパーコンピュータを駆使した高度な地震と津波のシミュレーション手法開発など、様々な研究成果が報告されました。このような最新の研究成果は、「仙台防災枠組 2015-2030」がもたらしたものであり、実務面でも減災やリスクコントロールを実践していくうえで重要となります。

 

東日本大震災で被害を受けた建物(宮城県女川町)

東日本大震災で被害を受けた建物(宮城県女川町)

熊本地震によって引き起こされた土砂崩れ(熊本県南阿蘇町阿蘇大橋の崩落現場近く)

熊本地震によって引き起こされた土砂崩れ(熊本県南阿蘇町阿蘇大橋の崩落現場近く)

 

日本と英国だけに限らず国際共同防災研究は、今後もさらに活発になると予想されます。例えば、英国政府主導で"Global Challenges Research Fund"というプロジェクトが進められています。このプロジェクトでは、防災分野における研究、実務者の育成や途上国への研究技術移転などを軸にした研究費助成資金が提供されます。また、原子力分野や洋上風力発電などの再生エネルギー分野における研究協力は、将来の世界的なエネルギー問題に対処していくうえで非常に重要であり、防災分野を含めた総合的な科学・工学面での国際研究協力が強く望まれています。

 

ブリストル大学 土木工学研究科
合田 且一朗(Katsuichiro Goda)

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