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日本発スタートアップのグローバル展開の鍵を探る

  • 15 March 2016
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駐日英国大使館が主催する「日英イノベーションエコシステムセミナー」が、2015年12月2日(水)に二子玉川ライズのiTSCOM Studio & Hallにて、2016年2月12日(金)に渋谷ヒカリエにて、2回に分けて開催されました。

 

日英イノベーションエコシステム・セミナーの様子

第2弾となる本セミナーの趣旨は、日本のベンチャーが英国でビジネス展開することに期待するもので、インキュベータやアクセラレータなどを含む英国のテック・スタートアップ・エコシステムの概況、資金調達環境、エグジット環境などについて、ベンチャーおよびベンチャーキャピタル、コンサルタントなど様々なスピーカーのプレゼンテーションやパネルディスカッションが繰り広げられました。参加者を見ると、ベンチャーのみならずベンチャーキャピタルなどの業界関係者も多数参加しており、今後の波及的プロモーション効果が期待されます。

 

 

英国のイノベーションを振り返ると、1970年代からケンブリッジ大学、オックスフォード大学、インペリアル・カレッジ・ロンドンなどの大学を中心とした産学連携が盛んに行われてきたことに始まります。現在、リヴァプール大学にはセンサー系、ブリストル大学、西イングランド大学、バース大学にはロボティクス系やヘルス系、ブラッドフォード大学、リード大学にはデジタルヘルス系、ノッティンガム大学ではテック系の研究が行われており、産業界とのネットワークが構築されています。

 

また、英国政府は、大学による技術開発と民間企業による商業化への結節点となるカタパルトセンターを全国9箇所に設置し、それぞれ細胞医療、交通、医療技術、未来都市、洋上再生可能エネルギー、衛星利用、高価値製造業、エネルギーシステム、デジタルという専門領域でイノベーションへの取り組みを加速させています。そこでは共同の取り組みだけにとどまらず、政府、企業、大学間での人材やノウハウの循環が実現しており、さらに2030年までに30種まで増加させようとその手を緩めていません。

 

一方、日本は経済産業省を中心として産学連携や大企業とベンチャーとの連携を促す様々な施策を実施しているものの、大企業の自前主義が根強く、取り組みを浸透させることに苦戦しています。

 

日本では2000年代前半のベンチャーブームに乗じて、コーポレートベンチャーキャピタルと呼ばれる大企業によるベンチャー投資がブームとなりました。その後、2008年のリーマンショックで一時苦境を迎えたものの、2011年頃からコーポレートベンチャーキャピタルが再燃しており、2015年の未上場ベンチャーへの投資額はリーマンショック前の水準に回復してきています。

 

さらに、2015年頃からは一部の大企業がアクセラレータと呼ばれる手法を用いてベンチャーとのオープンイノベーションを開始し、この動きは様々な業種業態への広がりを見せつつあり、イノベーションが期待されています。

 

英国政府が行っているイノベーション政策の特徴的な部分として税制面も挙げられます。小規模な未公開企業に対する直接投資の促進を目的として、2000年からコーポレートベンチャリングスキームという制度を導入し、法人投資家がベンチャー企業の新規発行する普通株式に最低3年間投資を行った場合、投資額の20%の法人税額控除を認めています。また、キャピタルゲイン繰延や損失控除などの優遇税制も導入しており、ベンチャーへの投資環境を充実させています。

 

日英比較の中で過去10年間の開業率・廃業率に注目してみると、日本が4%程度で推移しているところ、英国は10〜12%程度で推移しています。ベンチャーを支援する側とされる側の両者への支援がバランス良く整った結果、ベンチャーの新たなチャレンジが誘発され、英国の産業の新陳代謝が促され、この3倍近い数字の差に現れているのではないかと考えられます。

 

日本政府もベンチャー投資促進税制を導入していますが、ファンド出資金額が20億円以上という制約があり、初めてベンチャー投資にチャレンジする企業には少しリスクが大きすぎるという指摘もあります。日本は大企業主導の社会・経済システムとなっており、大企業による積極的なベンチャー投資が社会イノベーションのポイントであり、優遇税制の拡大など日本政府による大胆なアクションに期待したいところです。 

 

世界各国のベンチャーのインバウンド数・アウトバウンド数を見ると、英国はドイツとフランスを抑えてヨーロッパでは最大であり、1位のアメリカを追随しています。本セミナーのように英国政府の積極的なベンチャーの海外展開支援があったり、海外のベンチャーが英国でビジネス展開する上で魅力的なインフラやコミュニティがいかに整っているかを数字から見て取れます。

 

それらの努力の結果として、1990年から2010年の20年間のGDP成長率を見ると、日本が110%と伸び悩む中、アメリカと並んで英国は250%と群を抜く高成長を遂げており、英国政府のイノベーション政策が実を結んでいると考えられます。現在、GDP総額では日本は3位にとどまっている一方、英国は2014年にフランスを抜いて5位に上がり、国際経済の中で今後さらにそのプレゼンスを高めていくことが想定されます。

 

英国ではソフト面のみならずハード面に関しても、2012年に開催されたロンドンオリンピックを契機として、都市基盤の再構築に併せてロンドンの東側エリアにテックシティと呼ばれるテック系ベンチャーの一大集積拠点を形成しており、独自のコミュニティが形成され、イノベーションの加速に成功しています。

 

日本も産官学が一体となったシームレスなベンチャー・エコシステムを構築すると共に、国内のみならず海外のベンチャーやベンチャーキャピタルとの結節点となるグローバルなイノベーション拠点の形成が求められています。

 

本セミナーが開催された渋谷は、日本国内最大のベンチャー集積地です。若者や外国人が集まり、活気と多様性に満ち溢れ、様々な挑戦に対しての寛容性を持つ街であり、イノベーションを興すには非常に適した都市空間がそこに存在します。

 

渋谷駅前で大規模な再開発が進められていますが、2020年オリンピック・パラリンピック東京大会までには、現在建設が予定されているビルの多くが竣工し、渋谷は大きく変貌を遂げる予定です。こういった街を中心に、周辺の都市を巻き込みながらベンチャー・エコシステムが構築されたグローバルなイノベーション拠点が形成されれば、日本にも大きなイノベーションが興るのではないでしょうか。

 

最後に、本セミナーを通じて英国のテックシティと日本の渋谷のベンチャー・エコシステムがつながったことで、日本のベンチャーが英国でのビジネス展開に挑戦する足掛かりとなることを願っています。

 

東京急行電鉄株式会社 都市創造本部 開発事業部 事業計画部
加藤 由将

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