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英国の産業戦略と、英国大使館から日本企業へのメッセージ

  • 10 May 2018
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英国では2017年11月、英国企業を支援し英国経済の力強い成長を実現するための長期産業戦略を発表しました。

 

「産業戦略」のロゴ

 

また、同年12月13日(水)、日英政府は初めての産業政策対話を東京で開催し、両国が産業協力を深化すべき「宇宙」、「航空機」、「エネルギー・気候変動」、「先端製造」、「バイオエコノミー」の5つの分野を特定し、意見交換を行いました。英国と日本は同じグローバルな課題に直面しています。革新的分野での様々な産業協力は多大な経済効果をもたらし、社会に大きく貢献することが期待されます。本記事では、英国の産業戦略の要旨と、日本企業がこれからの英国とどのようなパートナーシップを築き得るのかという点についてご紹介します。

 

英国の産業戦略の概略

英国は欧州連合を離脱しますが、これまでと変わらず、世界中の優れた人材を歓迎し、あらゆる市場とつながり、多くの国々からの投資を積極的に推進していきます。英国の産業戦略は、経済改革のビジョンを実現する5つの強固な基礎を土台に、競争優位を確立する4つの野心的な取り組みを推進します。

 

経済改革のビジョンを実現する5つの基礎

英国経済の優位性を支える5つの基礎とはアイデア、人材、インフラ、ビジネス環境、地域社会です。いずれもが経済大国として欠かすことのできない特性です。それぞれについて、英国は積極的な投資を行っていきます。

 

経済改革のビジョンを実現する5つの基礎

© Crown Copyright

 

1. アイデア:世界で最もイノベーション力のある経済

  • 研究開発への総投資額を、2027年までにGDPの2.4%に引き上げ
  • 研究開発の税額控除率を12%に引き上げ
  • イノベーションの潜在性を引き上げるため、産業戦略チャレンジ基金(Industrial Strategy Challenge Fund)を新設し、総額7億2500万ポンドを投資するプログラムを実施
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    2. 人材:良質な仕事につき収入を増やすチャンスをすべての人に

  • 世界トップレベルの優れた技術教育システムを確立し、英国の一流高等教育と並ぶ水準に引き上げ
  • STEM(科学・技術・工学・数学)分野のスキル不足を解消すべく、数学、デジタル教育、テクニカル教育に4億600万ポンドの追加投資
  • 新たな技能取得を支援する国民再教育スキーム(National Retraining Scheme)を創設し、まずはデジタル・建設分野の職業訓練に6400万ポンドを投入
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    3. インフラ:国内インフラを大規模に改善

  • 生産性投資国家基金(National Productivity Investment Fund )を310億ポンドに拡大し、輸送、住宅、デジタルインフラへの投資を支援
  • 電気自動車開発支援として充電スタンドインフラ整備に4億ポンドを投入し、さらにブラグイン車への助成金も1億ポンド増額
  • 5G展開に1億7600万ポンド、光ファイバーネットワークの地域整備推進策に2億ポンドなど、10億ポンド超の公共投資でデジタルインフラを強化
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    4. ビジネス環境:事業の立ち上げ・拡張に最適な国

  • 業種別に生産性向上を図る、政府と産業界のパートナーシップ「セクター・ディール」の締結と展開。ライフサイエンス、建設業、AI、自動車の4分野から開始
  • 英国ビジネスバンク(British Business Bank)が発案した25億ポンドの投資ファンドの創設を通じ、イノベーション力と将来性のある企業に200億ポンド超の投資
  • 低生産性企業の「ロングテール効果」への対応を含め、中小企業の生産性および成長促進に効果的な政策をレビュー
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    5. 地域社会:豊かなコミュニティを英国全土で実現

  • 地域の強みを生かし経済機会を実現するため、地域産業戦略(Local Industrial Strategies)を策定
  • 都市変革基金(Transforming Cities Fund)を創設し、都市の交通整備に17億ポンドを投入。都市圏の交通網改善を通じて生産性向上を図るプロジェクトに資金を提供
  • 試験的プログラムの教師能力開発プレミアム(Teacher Development Premium)に4200万ポンドを投入。要支援分野の教師を対象とする1000ポンドの専門能力開発助成の効果を測定
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    これからの産業先進国になるための4つの「グランド・チャレンジ」

    急激に変化する将来に向けて、準備を整え、新しい市場と産業を開拓するために重点的に4つの取り組みを行い、英国の競争優位を固めていきます。

     

    英国をこれからの産業先進国にする『グランド・チャレンジ』

    © Crown Copyright

     

    1. AIとデータ主導経済の育成

  • 英国をAIとデータ主導イノベーションの世界的中心地にする
  • 様々なセクターの生産性向上にAIとデータ分析テクノロジーを活用
  • データとAIの安全かつ倫理的利用で世界をリードし、市民と企業の信頼と理解を促進
  • 人々が将来の就労に必要なスキルを学習する支援を提供
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    2. クリーンな成長

  • 電力、熱資源、輸送の全体を通じて、安価かつクリーンなエネルギーを利用できるスマートシステムを開発
  • 建設技術を変革し、効率性を大幅に改善
  • クリーン経済におけるエネルギー集約産業の競争力強化
  • 英国を高効率農業への世界的移行において最先進国にする
  • クリーンな成長を支援する資金調達において、英国をグローバルな規格設定者にする
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    3. 将来のモビリティ

  • 新しい輸送手段と新しいビジネスモデルを奨励する、柔軟な規制枠組みの設定
  • ガソリン車から排出ゼロ車両への移行で生まれるチャンスをとらえ、課題に取り組む
  • 新しいモビリティサービス、自動化、カーシェアリング、自家輸送と公共輸送の境界の曖昧化など、将来の変化に対応
  • 新しいモビリティサービスの開発を進め、輸送システムの効率的運営を可能にするようにデータを活用
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    4. 高齢化社会

  • グローバルな人口高齢化に対応した新たな製品・サービスを支援し、重要な社会的ニーズを満たしつつ英国のビジネスチャンスを実現
  • 産業セクターを支援し、労働力の変化・高齢化に適応
  • 健康データを活用しつつ、健康水準の改善およびライフサイエンスにおける英国のリーダーシップを強化
  • 介護事業者が需要の変化に合わせてビジネスモデルを修正していくための支援を行い、新しい介護モデルの発展・普及を奨励
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    英国の産業戦略との相乗効果が期待される日本の産業政策

    日本の経済産業省は、新産業構造ビジョンを2017年5月30日(火)に発表しました。これは、ビッグデータとAIの活用を通じた産業の異種交配によって社会的・構造的課題を解決し、イノベーションを引き起こすというものです。その大部分が英国の「産業戦略」と重なり合っています。特に2020年までに完全自動運転を目指すモビリティ分野、ビッグデータとAIの活用、健康長寿など幅広い分野で、日英両国が協力することによる強い相乗効果が期待されます。

     

    大使館から日本企業に向けてのメッセージ

    EUからの離脱を前に、積極的に産業改革を進めていこうとしている英国。今後、日本企業はどのように英国の「産業戦略」をビジネスチャンスとすることができるのでしょうか。最後に、駐日英国大使館からのメッセージをご紹介します。

     

    「日本からの投資は英国のいくつもの主要な産業で重要な役割を果たしています。英国産業の強みを築き上げ、有効な投資によってさらに強みを拡大する産業戦略は、日本の企業、研究機関、イノベーターにとっても大きなチャンスです。新しいパートナー探し、革新的な計画策定、研究開発資金の調達など、英国で活動している日本企業はすでに『産業戦略』の枠組みのなかで、多くの利点を見出しています。

     

    また、政府と特定の産業との間に様々な協業支援がスタートしています。例えばライフサイエンス分野では、先進の医療技術の創出を支援しますが、民間や慈善団体からの投資を引き出すことができ、また政府の研究開発面の支援もあります。さらに、イノベーションの果実を得るために、産業戦略は7億2500万ポンドのファンドを用意しています。

     

    産業戦略の4つの取り組みは、日本の課題と共通するところが多く、日本企業との協業によるイノベーションが社会的な課題解決につながることが期待できます。

     

    日英のパートナーシップで、日本企業の成長のチャンスが広がることを願っています」

    ライター 田中 実典

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