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日英連携によるビジネスと研究開発の新たな可能性を探る

  • 16 September 2015
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「英国ライフサイエンスセミナー」日英連携によるビジネスと研究開発の新たな可能性を探る

 

去る2015年8月31日(月)、「Innovation is GREAT~英国と創る未来~」キャンペーンの一環として、「英国ライフサイエンスセミナー」が開催されました。登壇したのは、駐日英国大使館 貿易・対英投資部 再生医療・ライフサイエンス専門官の並木幸久氏、英国貿易投資総省 ライフサイエンス テクノロジースペシャリストのジョン・モウルズ氏、東京エレクトロン株式会社 コーポレート次世代戦略企画室 室長の木下喜夫氏の3名です。それぞれが、専門の立場で英国のライフサイエンス産業の現状や課題、日英の比較、企業が英国に研究開発拠点を置くことの利点などについて熱く話しました。

 

英国のライフサイエンス産業は欧州において大きな存在感を示しています。例えば、創薬分野においては、世界のトップ創薬メーカーの多くが英国内に研究拠点や製造拠点を持っているほか、欧州における臨床試験中の医薬品候補の半数近くが英国企業によるものとなっています。自然科学分野のノーベル賞を70人以上排出してきたアカデミア、政府、民間企業の間に組まれた強力なタッグのなせる技といえます。

 

背景には、高齢化問題もあります。医療費の大半はNHS(National Health Service、国民保健サービス)によってまかなわれていますが、その額は過去10年で倍以上に増えています。このような状況において、健康寿命の維持、より安価な薬、再生医療等の実現が求められ、国を挙げてのライフサイエンス研究が推進されるようになったのです。前置きが長くなってしまいましたが、以下より当日の模様をお伝えします。

 

医療・ヘルスケア産業の課題と日英連携による解決法(並木幸久氏)

並木氏は、バイオメディカルエンジニアリング等を修め、研究者を経て技術移転会社を設立。日米欧間での技術取引やバイオ・ヘルスケア産業の創出に尽力し、2015年春より駐日英国大使館に在籍しています。今回は、日本のライフサイエンス産業が抱える課題を「人口の減少と高齢化」、「開発費と市場」、「国際化」の3つに絞り、解決の糸口を英国でのビジネスに見い出せることや、その際に駐日英国大使館がサポート役を果たせることを紹介しました。

 

「人口が減っていく日本は、60年後に現在の英国と類似した人口構成になると予想されます。このことは、英国の経済モデルが将来のヒントになるとともに、国内マーケットの縮小を見据えた国際化を図る必要があることを意味しています」。そう話す並木氏は、英国をハブとした日欧連携に次のようなアドバンテージがあるとしました。まず、「英国の法人税率がG7中最低の20%であることに加え、さらにパテントボックス(適格な特許発明から生じる利益に対する法人税率が10%)などの優遇措置がある点」。第2に、「英国を拠点に日欧連携をはかることで、縮小する日本市場や活用できていない特許を補完しうる点」。第3に、「迅速な薬事審査や安全性検査体制、再生医療や個別化医療を進めるための事業化推進サービス等が整っており、日本企業にも活用のチャンスがある点」です。「英国は生活や教育面でも日本人にもなじみやすい」。並木氏はそうコメントして締めくくりました。

 

英国ライフサイエンス・ヘルスケア産業の概要(ジョン・モウルズ氏)

モウルズ氏は、臨床微生物学分野の研究、製薬会社や日本を含む各国のバイオテク企業のコンサルタントを経て、現職に就いています。はじめに、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドからなる英国が、ライフサイエンスや電子機器産業における「欧州の拠点」として機能していることを紹介し、「ライフサイエンス担当大臣が設けられているのは、世界で英国だけです。NHSを中心に、国を挙げた創薬、医療機器開発支援が進められています」と話しました。

 

つづいて、それぞれの研究開発拠点が、オックスフォードやケンブリッジなどの4大大学、公的研究機関、創薬や医療機器メーカー、高度医療センター、資金提供団体によるクラスターを形成していることの強みについてもコメント。「たとえば、スコットランドでは歴史的にも電子人工装具産業が強かったのですが、NHS スコットランドから新たな技術がでてきました。英国では近年、細胞治療や個別化医療の実用化を促進する研究所(Cell Therapy Catapult、 Precision Medicine Catapult)が加わることで、世界中から企業を誘致し7万人以上の雇用を生み出しており、日本企業にも門戸が開かれている」と語りました。

 

英国幹細胞テクノロジーセンター開設 細胞品質担保の仕組みと、その標準化に向けた共同研究(木下喜夫氏)

最後に、東京エレクトロン株式会社の木下氏が登壇し、Cell Therapy Catapultの実例として、同社がロンドン郊外に設立した「幹細胞テクノロジーセンター」について紹介しました。木下氏は、長年にわたり同社の半導体製造装置開発に従事し、2007年より新境地といえるライフサイエンス分野の企画開発に携わっています。

 

半導体と細胞治療は相容れないようにも見えますが、木下氏は「自動化と品質管理システムで実績をもつ東京エレクトロンの技術を、細胞培養、検査システムやそのアルゴリズム、細胞品質の分析手法といったプロセシング技術に生かす取り組みを始めています」と語りました。当初、神戸にあった開発拠点を英国に展開した理由を「英国政府発行のレポートを目にし、NIBSC(国立生物学的製剤品質標準化研究所)による強力なバックアップと、Cell Therapy Catapultによるきめ細かいサポートが得られることを知ったため」と話しました。

 

セミナーの最後では、駐日英国大使館 貿易・対英投資部の武井尚子氏が、英国に拠点を作るための流れを紹介し、市場調査からビザに関する情報、税務処理、現地スタッフ、大学や病院などの提携先の紹介に至るまで、駐日英国大使館が窓口となって橋渡しできる点を強調しました。質疑応答では、英国に拠点を設立することの利点に関する具体的な質問が相次ぎ、講演者による丁寧な回答の後に閉幕となりました。

 

サイエンスライター 西村 尚子

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