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英国のAI最前線:産官学を巻き込んで進む研究開発と社会実装

  • 17 May 2018
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英国のAI最前線:産官学を巻き込んで進む研究開発と社会実装

 

英国は、人工知能(AI)の研究と技術開発分野において、世界の先導的な地位を築いています。このたび、Innovation is GREATブログでは『英国のAI最前線』と題した新連載を開始。英国のAI研究の強み、そして日英コラボレーションの可能性などを探ります。

 


 

かつて経験したことのない超高齢化と労働人口減少の時代を迎えつつある先進各国では、AIの研究開発と社会実装に期待が寄せられています。特に英国には、マシンラーニング、ディープラーニング、自然言語処理、コンピュータ・ビジョンなどのAI領域において世界を牽引してきた経緯があり、世界に先駆け、医療、ファイナンシャル・サービス、メディア(広告)、自動運転、教育、セキュリティなどに導入しようとしています。

 

国を挙げてAIに取り組む英国

大英図書館

©Tony Antoniou
ロンドンにある大英図書館

2015年、ロンドンの大英図書館内に人工知能研究所「アラン・チューリング・インスティテュート」が設立されました。この研究所の一部として、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン、ケンブリッジ大学、エジンバラ大学、オックスフォード大学、ウォーウィック大学の5大学が参画し、設立資金(約74億円)は主に英国工学・物理科学研究会議(UK Engineering and Physical Sciences Research Council)が提供しました。

 

 

 

 

第2次世界大戦中にドイツが使用した暗号機「エニグマ」

©Clare Kendall
第2次世界大戦中にドイツが使用した
暗号機「エニグマ」

研究所名の由来は、第2次世界大戦中にドイツの暗号エニグマを解読した英国の数学者、アラン・チューリングにちなんでいます。目下のミッションは、データ・サイエンス分野の人材育成とスキルアップ、研究の拡充、企業との開発連携などです。

 

 

 

 

 

 

DeepMind社(現Google社)をはじめ、英国には、大学からスピンアウトしたAI関連企業が多いという特徴があります。そのスピンアウト数は、1研究室から10企業におよび、英国全土で約400社以上のスタートアップ企業が存在するほどです。特にスコットランドはデータ・サイエンスに強く、エジンバラ大学は「英国の大学で、最もスピンアウト数が多い」といわれています。

 

企業とアカデミアとの橋渡しとしては、デジタルカタパルトセンターがAIに特化したプログラム「Machine Intelligence Garage」を始めています。「これまで英国は、スタートアップ企業立ち上げ時の課題によりうまく対応していなかった」との調査結果に基づいて設立されたもので、明確なビジネスアイディアと確固たる技術をもつスタートアップ企業や企業ニーズに対応するプロジェクトを支援することが主な目的です。2018年1月末には、優先6領域(サイバーセキュリティ、ライフサイエンス、建設、製造、エネルギー、農業)における、参画企業の第一弾のプロジェクトが決まりました。

 

英国の科学者や倫理学者は、すでに倫理問題や法規制についても検討を始めています。たとえば、「AIが労働の機会を奪ってしまうのではないか」、「宗教観を変えてしまうのではないか」といった懸念が生じていますが、英国政府はCentre for Data Ethics and Innovationという団体に900万ポンドを出資し、政府自身がこうした問題についての専門家の助言を得られるよう、体制作りを進めています。

 

英国に学ぶ日本と、日英のコラボレーション

日本においてもAI研究が国立研究所や企業で進められていますが、社会的な認知は英国ほど成熟していません。AIの導入に対しても、「社会の有り様が変化してしまうのではないか」といった不安の声が英国よりも大きいとされています。ただし、この数年で、日本なりにAI研究環境が充実してきているといえます。

 

エジンバラ大学と理化学研究所のMoU締結の調印式

エジンバラ大学と理化学研究所のMoU締結の調印式

たとえば2016年には、理化学研究所に人工知能研究拠点(Advanced Integrated Intelligence Platform Project、以下AIP)センターが作られ、企業と共同してのAI研究が始まっています。AIPセンターはエジンバラ大学ともパートナーシップ(※)を組むなど、英国とも積極的に連携を図っています。

※エジンバラ大学と理化学研究所のパートナーシップについてはこちら

 

 

 

一方で、日本はロボット大国と称されるほど、産業ロボットの導入が進んでいます。製造の自動化や生産システムの大規模化は1970年代から進み、2000年以降はレーザーや高精度カメラによるセンシング技術なども導入されています。加えて、日本には「人間のように知的に振る舞うロボット(ヒューマノイド)の開発に憧れる」といった文化的側面があり、産官学を問わずヒューマノイドの開発が進められてきた経緯もあります。

 

英国には、こうした日本のロボット技術を自国のAI領域と融合できる様々な技術があります。日本にもまた、英国のAI研究や最新の知見を共有し、社会実装や「ものづくり」に生かせる領域が多くあります。この先、日英におけるアカデミア、大手企業、スタートアップ企業または政府間の多様なコラボレーションが進むことで、AIの革新的な活用方法が見出されるものと期待されます。

 

サイエンスライター 西村 尚子

 


 

『英国のAI最前線』第2弾は近日公開予定。次回は、2018年2月にアラン・チューリング・インスティテュート、デジタルカタパルト施設、主力大学を実際に見学された東芝研究開発本部 研究開発センターにおいてアナリティクスAIラボラトリー室長を務める三田雄志氏へのインタビュー記事を掲載します。

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