MENU

INNOVATION IS GREAT
FacebookTwitterGoogleLinkedIn
Feed
英国進出、輸入や研究連携へのお問い合わせ
Mail

CONTENTS

HOME > BLOG > 技術とデザインを融合する英国スタートアップとパナソニックの出会い

技術とデザインを融合する英国スタートアップとパナソニックの出会い

  • 24 August 2017
  • Feed

英国といえば紅茶のイメージが強い人も多いことでしょう。しかしながら、近年、「ミレニアル世代」と呼ばれる1980年代から2000年代に生まれた人々を中心に挽いた豆から淹れるレギュラーコーヒーの人気が高まっています。実際にロンドンの街中にはCosta、Starbucks、Caffè Neroといったカフェが多数あり、どこも賑わっています。我々が視察したロンドンのKing’s Cross駅近くにあるCaravanというカフェ・レストランでは、店内にコーヒー焙煎機を設置し、焙煎したての香ばしいコーヒーを提供するだけでなく、定期的に自宅まで配送するサービスも行っていました。このような状況から見ても英国ではコーヒーが市民生活の一部として広く浸透しつつあることがわかります。

 

King’s Cross駅近くのカフェ・レストラン

King’s Cross駅近くのカフェ・レストラン

英国のスタートアップであるIKAWA Ltd.(以下、IKAWA社)と協業するに至った経緯についてお話しします。パナソニックでイノベーションを推進する全社CTO室では、1998年から先端技術を保有するスタートアップへの少額出資活動(Corporate Venture Capital – CVC)を通じて、スタートアップとのアライアンスを構築してきました。2014年秋ごろ、生産者のこだわりや職人の技をお客様につなげたいという新企画を検討していたパナソニック アプライアンス社 事業開発センターと共同でパートナーを探索したところ、ロンドンでユニークなコーヒー焙煎機を開発している会社があるという情報を入手しました。それがIKAWA社でした。

 

IKAWA社の創業者ら

IKAWA社の創業者ら

早速、現地で創業者らに会うことにしました。試作機を見た時の第一印象は、曲線が美しく先鋭的なデザインであるということでした。それだけでなく、300℃近くにまで達する熱風での焙煎を小さな筐体に収めるという高い技術力と、ガラス越しに熱風で回転しながら刻々と変化する豆の色と香りを五感で感じさせるというコンセプトに強く魅了されました。

 

 

 

 

パナソニックの交渉チーム

パナソニックの交渉チーム

帰国後すぐに交渉チームを結成して交渉を開始、数回に渡る交渉を経て、最終的にはIKAWA社から技術ノウハウを得て、日本向け製品をパナソニックが開発することで双方が合意しました。特徴的なデザインやコンセプトはそのまま残しつつ、パナソニックがこれまで家電で培ってきたものづくりの技術とノウハウを活かして、英国の半分以下の100Vという比較的低い日本の電圧でも十分な熱量が得られるよう設計を見直すなど、数多くの改良を加えました。加えて、独自の専用アプリを開発し、コーヒー豆頒布サービスとして完成させました。当時、スピーディーな事業立ち上げを優先し、自社開発ではなくスタートアップとの提携を選択したことは、パナソニックにとって非常に珍しく挑戦的なことでした。この決断によって、通常は4~5年かかる新規商品の開発を約2年に短縮することを可能としました。

 

IKAWA社のような興味深いスタートアップがなぜ英国で誕生したのでしょうか。我々はその要因が二つあるのではないかと考えています。

 

第一の要因は、活発なベンチャー投資市場です。欧州では2015年に総額34.9億ユーロのベンチャー投資が行われました。国別では英国が第1位(約8億ユーロ)であり、スタートアップが生まれるために必要となる潤沢なリスクマネーが市場へ供給されています。

 

第二の要因は、テクノロジーとデザインを融合するという発想です。ロンドンにあるThe Royal College of Artは、修士号と博士号の両方を授与する美術系大学院大学としては世界で唯一の学校であり、まさにテクノロジーとデザインを融合したイノベーションがここで生まれています。QS世界大学ランキングで2015~2017年の3年連続で芸術・デザイン分野において同大学は世界1位に選ばれました。実際に、IKAWA社の創業者であるAndrew Stordy氏とRombout Frieling氏の二人もこの大学のIndustrial Design Engineeringの修士課程の出身であり、同大学のインキュベーション施設でIKAWA社を起業しました。

 

以上のようなパナソニックと英国ベンチャー企業IKAWA社との出会いによって生み出されたコーヒー焙煎サービス"The Roast(ザ・ロースト)"は、毎月ご自宅に届く生豆と、それぞれの豆の特徴を最大限に引き出す焙煎工程(プロファイル)、そしてこのプロファイルを忠実に再現する焙煎機本体の3つをセットとして、ご自宅でプロフェッショナルの焙煎技術を再現します。生豆は世界各地の農園から厳選されたスペシャルティコーヒーです。プロファイルは2013年World Roaster Championship優勝者である福岡県の豆香洞コーヒーオーナーの後藤直紀氏が作成し、スマートフォンやタブレットの専用アプリからダウンロードして焙煎機本体を操作します。こうしてご自宅にいながら、世界中の本格的なコーヒーの味や香りを楽しめるサービスです。

 

パナソニックが発売した"The Roast(ザ・ロースト)"

パナソニックの"The Roast(ザ・ロースト)"

今回、IKAWA社を事例として、日本の大企業と英国スタートアップとのアライアンスについてお話しをしました。大企業とスタートアップのアライアンスを成功させるには、よく言われるスピード経営だけでは不十分です。スタートアップの強みである「斬新な発想力」、「チャレンジ精神」などと、大企業の強みである「ブランド力・資金力」、「品質管理能力」などを双方が出し合い、お互いをリスペクトしつつ相手の弱みを補完しあうことでWin-Winな戦略関係を構築することが重要だといえます。

 
 
 

パナソニック株式会社 全社CTO室 ベンチャリング担当主幹
濱崎 省吾

 
 

英国スタートアップ企業との協業、技術探索をご検討の際には、国際通商部までご連絡ください。

 


 

駐日英国大使館・総領事館 国際通商部(DIT Japan):

DIT Japanは、英国政府のDepartment for International Trade(DIT:国際通商省)の日本オフィスです。DIT Japanは英国製品・サービスをお探しの日本企業へ情報提供を行っています。また、日本企業の英国進出および英国での既存事業の拡大の際に必要なサポートを提供しています。これらのサービスは秘密厳守・無償にて行っております。

英国進出・英国での事業拡大、英国製品やサービスの輸入に関してご質問がございましたら、こちらまでお問い合わせください。

MENU