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日英における認知症施策や研究についてのセミナー、開催迫る!

  • 26 January 2017
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来る2017年2月15日(水)から20日(月)、駐日英国大使館、スコットランド国際開発庁、ブリティッシュ・カウンシルにより、日本各地においてアルツハイマー症をはじめとする認知症をテーマにしたセミナーが開催されます。一足先に、英国の取り組みやその成果、課題などの一端をご紹介しましょう。

 

先進国が抱える認知症問題

ベンチに1人座っている高齢者

年明け早々、日本老年学会・日本老年医学会は、現在65歳以上と定義されている高齢者を75歳以上にし、65歳から75歳は准高齢者としてはどうかとの提言を出しました。背景には、元気な高齢者が増えている実態があるとされますが、社会保障費を削減するためではないかとの声も聞かれます。医療費や介護費をひっ迫させている要因の一つは、アルツハイマー病などの認知症の増加にあります。日本には、認知症の人が2012年時点で約460万人おり、医療や介護などの社会的費用が年間14.5兆円かかると報告されています(2014年)。さらに、2025年には700万人に増え、「65歳の高齢者の5人に1人が認知症になる」との衝撃的な推定も出されています。

 

先進国はこのような認知症の問題を共通して抱えています。英国では、2007年に認知症の人、医療・介護費などの年間コストが詳細に推計され(Full Dementia UK report)、それを受けるかたちで議論が進み、2009年に認知症国家戦略が示されました。同時に、「約70万人は30年後に倍の約140万人に増加。それにともない社会的費用が170億ポンドから500億ポンドに膨れ上がる」との試算も発表されました。

 

G8による認知症サミット開催

ロンドンの風景

2013年には、キャメロン政権下の英国がホストとなり、ロンドンで世界初の認知症サミットが開かれました。G8各国の政府代表、欧州委員会、世界保健機関(WHO)、経済協力開発機構(OECD)の各代表、各国の認知症専門家、製薬企業関係者などが一堂に会し、自国の施策や研究、現状についての紹介と意見交換がなされました。日本からは土屋品子厚生労働副大臣(当時)が出席しました。

 

 

本サミットにおいて、英国は資金源獲得に向けた国際的な取り組みを調整する「認知症イノベーション特使(Dementia Innovation Envoy) 」を設けると発表。G8の保健大臣は、連名で認知症サミット宣言を出しました(※1)。そこには、「2025年までに認知症治療の開発を達成する。そのための研究資金を共同で増やす。専門知を集結してイノベーションを促し、民間の基金等を立ち上げる。研究情報を共有してビッグデータ化をはかる。研究のオープンアクセス化を奨励し、さらなる研究に利用できるようにする」といった具体的な目標が盛り込まれました。さらに、「全ての国と国際機関に対し、認知症が現在もたらしている健康と経済発展へのリスクを軽減するために団結する」といった29項目におよぶ共同声明も出されました(※2)。

 

その後も、2014年には認知症サミットの後継イベントとして、英国、加仏共同、日本、米国の順で国際会議が、2015年にはWHO主催の大臣級会合が開かれるなど、国際協力のもとに世界的な認知症のフレームワークが構築されつつあります。

 

※1 G8 認知症サミット ディクラレーション(宣言)<PDF・296KB>
※2 G8 認知症サミットコミュニケ<PDF・430KB>

 

DPUKとDRIの活動

ケンブリッジ大学

英国の研究イニシアティブとしてまず挙げられるのは、認知症の早期診断、より良い治療と最終的には予防の実現を目標とする"Dementias Platform UK(DPUK:英国認知症プラットフォーム)"です。2014年に立ち上げられた産官学による共同プロジェクトで、アカデミアからは、ケンブリッジ大学、インペルアル・カレッジ・ロンドン、オックスフォード大学、エディンバラ大学などの10大学が参画。200万人を超える参加者を対象にした調査に関するデータ共有や、脳イメージング、幹細胞、情報科学などの最先端科学の知見を駆使した研究を進め、成果のデータ化、ネットワーク構築が計られています。

 

2016年には、前年にキャメロン首相(当時)がG8サミットとその後の一連の関連イベントを受け発表した"Prime Minister’s Challenge on Dementia 2020(認知症への挑戦、2020年目標)"のImplementation Planが発表され、"UK Dementia Research Institute(DRI:英国認知症研究所)"を設立することが盛り込まれました。英国内の各大学と連携して認知症研究や認知症関連のイノベーションを推進することが狙いです。医学研究会議(MRC)、英国の2大アルツハイマーチャリティー団体により、合計2億5,000万ポンドの資金が投入されます。

 

来る2月20日(月)のセミナーでは、DPUKのディレクターやDRIに資金提供する英アルツハイマー協会の会長であるジェレミー・ヒューズ氏が登壇予定になっており、それぞれの取り組みや重要性について具体的に紹介します。さらに、DRIに採択されたいくつかのプロジェクトについても、代表者が講演を行う予定です。また、2月15日(水)のセミナーでは、スコットランドのスターリング大学のルイス・マカビー氏、東京都健康長寿医療センター研究所の粟田主一氏、同 大渕修一氏らが登壇し、日本とスコットランドにおける認知症ケアに関する取り組みについて話します。

 

さらに、2月18日(土)と19日(日)には、朝日新聞厚生文化事業団、朝日新聞社、認知症の人と家族の会による「認知症の人が安心して暮らせる街 認知症フレンドリーコミュニティーをめざして」と題した講演会・シンポジウムが、東京と大阪にて開催されます。いずれも認知症をめぐる課題について日英間で情報交換できる良い機会です。ふるってご参加ください。

2月18日(土)東京会場の参加申し込みはこちら
2月19日(日)大阪会場の参加申し込みはこちら

 

サイエンスライター 西村 尚子

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