MENU

INNOVATION IS GREAT
FacebookTwitterGoogleLinkedIn
Feed
英国進出、輸入や研究連携へのお問い合わせ
Mail

CONTENTS

HOME > BLOG > 「人の手」を再現するロボット技術で注目を集めるShadow Robot社

「人の手」を再現するロボット技術で注目を集めるShadow Robot社

  • 11 May 2017
  • Feed

ロンドンのとある屋根裏部屋から始まったロボット愛好家たちのクラブは、30年後、英国を代表するロボット企業へと成長しました。

 

Shadow Robot社は、人の手の動きを再現する、「Shadow Dexterous Hand(シャドウの器用な手)」や、プログラムに沿って自動的に料理をしてくれる自動調理ロボットMoleyなど、ユニークなロボットの開発で注目を集めている企業です。すでに、世界中の企業や大学、研究機関などとコラボレーションを行っているShadow Robot社。本記事では、マネージングディレクターのリッチ・ウォーカー氏へのインタビューをもとに同社を紹介します。

 

サイエンス・ミュージアムで展示されたShadow Robot社のロボットの前に立つ、創業者のリチャード・グリーンヒル氏(右)とマネージングディレクターのリッチ・ウォーカー氏(左)

サイエンス・ミュージアムで展示されたShadow Robot社のロボットの前に立つ、創業者のリチャード・グリーンヒル氏(右)とマネージングディレクターのリッチ・ウォーカー氏(左)

創業者はロボット好きの写真家だった

Shadow Robot社は、その成り立ちから普通のロボット開発企業とは異なります。創業者のリチャード・グリーンヒル氏は写真家で、休日にはロボットいじりをすることを好んでいました。やがて1980年代後半、屋根裏部屋を拠点にしてロボット愛好クラブを結成。その後、このクラブは成長を続け、1997年に正式に会社として登録を行いロボットの販売をスタートします。現在では、NASA(アメリカ航空宇宙局)やESA(欧州宇宙機関)にロボットを販売するまでに発展したShadow Robot社は、実に意外な歴史を持っているのです。

 
 
 
ロンドンのサイエンス・ミュージアムにも展示

同社のロボットは、ロンドンのサイエンス・ミュージアムで開催されている特別展『Robots』において2017年2月8日(月)から9月3日(日)まで展示されています※。この展示において同社の二足歩行ロボット「Shadow Biped」は、「7つの見逃してはいけないロボット」にも選ばれています。また、20年以上前のロボットから、最先端の「Shadow Dexterous Hand」に至るまでの、同社の歴史の進化を示す作品群も展示されています。

※サイエンス・ミュージアム(国立科学産業博物館)『Robots』展
『Robots』展は、サイエンス・ミュージアムの展示期間終了後、2017年10月からマンチェスターの科学産業博物館に移り、2018年5月にニューカッスル・アポン・タインのライフ・サイエンス・センター、2019年1月にエジンバラのスコットランド国立博物館と続いて展示が行われます。その後、少なくとも2021年までは国外で展示される予定です。詳細はこちら

 

Shadow Robot社の主な製品

  • Shadow Dexterous Hand
    Shadow Robot社の代表的な製品が、Shadow Dexterous Handです。これは、人間の手の動きを極めて忠実に再現する最先端のロボットハンドです。精巧に設計された5本の指は、人の指に相当する把持力と応答速度を持ち、20度の作動自由度と24の関節によって自在に動きます。また、Shadow Dexterous Handは、業界標準のインターフェースを採用しており、遠隔操作ツールとして使用することもできます。また、ロボットシステムの一部として様々なロボットアームに取り付けることも可能です。センサーは129個が実装されており、やわらかいものはそっと掴むといった人の手に近い動きを再現できます。現在、多くの大学や研究機関がShadow Dexterous Handを使って研究を行っています。
     

     

  • 自動調理ロボット Moley Robotics
    2015年4月にドイツで開催されたハノーバーメッセでプロトタイプが披露され、話題となったのが世界初の自動調理ロボットMoleyです。会場では、BBCマスターシェフのタイトルを獲得したティム・アンダーソン氏の料理スキルをロボットが再現し、「カニのビスクスープ」を約30分で完成させました。このロボットを開発したのは、ロンドンのロボット企業であるMoley Robotics社ですが、Shadow Robot社も開発に深く関わっています。自動調理ロボットMoleyは2018年には一般に販売される予定です。ちなみにこのプロトタイプは、2015年に中国の上海で開催されたCES Asiaにも出展され「Best of the Best」賞を受賞するなど話題を集めました。

     

     

  • アグリテック分野
    Shadow Dexterous Handの技術は、農業分野にも広がっています。イチゴなどのソフトフルーツのピッキングロボットへの技術協力やトマトピッキングロボットの開発などを、大学や研究機関、企業との協力のもと行っています。

     

  • アシスタント・ケア・テクノロジー分野
    Shadow Robot社は、EUが資金を提供しているRAMCIP(Robotic Assistant for MCI Patients at home)プロジェクトのパートナーであり、Innovate UKが出資するCHIRON(Care at Home using Intelligent Robotic Omni-functional Nodes)プロジェクトのパートナーでもあります。これらのパートナーシップにおいては、高齢者や認知症患者のための補助ロボットの開発に協力しています。

     

    日本とのパートナーシップについて

    ユニークなロボットを生み出し続けるShadow Robot社。マネージングディレクターのリッチ・ウォーカー氏に、日本とのパートナーシップについて伺いました。

     

    「日本は本当に特別な場所です。あらゆる意味で、世界の中でも独特です。そして、ロボティクスに関しては真の世界のリーダーです。日本には私たちの販売代理店がありますが、今後はパートナーシップを一層深めるとともに、さらに実績を上げるためにより多くの時間を割いていく予定です。また、当社は専門家ですが、単独でプロジェクトを実行することはできません。私たちが専門でない分野においては、サポートと支援を必要とします。こういったパートナーシップは、あらゆるプロジェクトを実現するために非常に重要になります。ロボティクスは指数関数的に成長している分野ですから、日本のパートナーとの連携と知識を共有することについては、非常に関心を持っています」

     

    今後のShadow Robot社のロードマップについて
     

    Shadow Robot社が開発に重きを置いているSmart Grasping System

    Shadow Robot社が開発に重きを置いているSmart Grasping System
     
     

    「私たちのロードマップは、製造業界の新しい"手"であるSmart Grasping System(スマート把持システム)の開発に大きな重点を置いています。Shadow Dexterous Handは擬人化ロボット向けの用途で飛躍的な進歩を遂げており、次のステップは把持(握る)技術の改良であると感じていますし、クライアントにもそのように言われ続けています。Smart Grasping Systemは、単なる産業用グリッパーではありません。それには知性が組み込まれています。つまり、1つの"手"を使用して多くのタイプのものを持ち上げ、工場内の多数の"手"の必要性を減らすことができるのです。また、Smart Grasping Systemはカメラを持っていて、把握しようとするものを"見る"こともできます。そして何より素晴らしいことに、Smart Grasping Systemはプログラミングが簡単で使いやすいのです。つまりこれは、プログラムのために博士号を持ったロボット研究家を必要としないことを意味するのです!」

     

    ロボティクスにおいて英国が秀でている点について
     

    「私は英国には、ひと癖ある思索家(quirky thinkers)が多いという点で秀でていると思います。私たちは、素晴らしい大学や研究センターを持っています。また、政府がロボティクスの資金調達の可能性を熱心に模索しているという事実もあります。私たちにはBrexit(EU離脱)という新しい章が差し迫っていますが、他の多くの企業と同様に、その場の状況に合わせてやっていくしかないと思っています」

     

    Shadow Robot社のDexterous Handと同社ロゴ

    ご覧のように、Shadow Robot社のロゴには手形がデザインされています。人の手の動きを再現する技術にフォーカスしてきた同社の取り組みは、現在非常に幅広い分野に広がっています。「現実の世界の問題を解決するロボットを作ること、最終的にはそれが私たちのやりたいことです」と、マネージングディレクターのリッチ・ウォーカー氏は語ります。ロボット技術に優れた日本企業とのコラボレーションによって、より新しい、多くの人の助けになるソリューションが生まれることが期待されます。

     

    ライター 田中 実典

  • MENU