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英国のAI最前線:産学連携とデータの利用環境が強い~東京大学 松尾豊特任准教授~

  • 12 July 2018
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英国大使館が2018年2月に実施した、英国のAI状況をご紹介する視察プログラムには、日本におけるAIの第一人者の一人で、人工知能学会の倫理委員長を務める、東京大学大学院工学系研究科で技術経営戦略額専攻の松尾豊特任准教授も参加しました。英国におけるAI研究について、松尾准教授にお話を伺いました。

 

——英国を見てまわられて全体的にどのような印象を持たれましたか?

東京大学 松尾豊特任准教授ロンドンは前から非常に気になっていた場所なので状況がわかってよかったです。囲碁名人を破ったアルファ碁は、Googleが買収した英DeepMind社の技術ですし、英国の事情には興味がありました。英国は明確な戦略や思惑でAI研究を行っていてベンチャー企業がたくさん生まれているという印象を受けました。

 

 

英国の産学連携は実ビジネスに直結している

 

——英国の大学を回られてレベルが高いと感じたのはどのあたりでしょうか?

第三者機関から発表される大学ランキングで英国の大学は10位以内にたくさん入っています。日本の東大は40位台、シンガポールが20位台、と大きく差が開いています。

 

——気になった大学や研究所はありましたか?

UCLのキャンパス

©UCL

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)でディープラーニングを研究しているThore Graepel教授や、スコットランドのエジンバラ大学でロボット研究をされているSethu Vijayakumar教授などをはじめとして、大学はどこもAI研究のレベルが高くて、産学連携がうまく機能していると感じました。企業に週4日出かけ、大学には1日だけという研究者がいますが、日本とは違いますね。

 

 

 

——日本と英国で行われている産学連携はどう違いますか?

日本では産学共同と言っても、大学がビジネスとして企業との共同研究を行うのではなく、企業の研究所と大学が一緒に研究することが共同研究だと思っていることが多いと感じます。英国では研究・技術をベースとして、大学が企業のビジネスを大きくしていく体制を作ることが産学連携で、社会に受け入れられることでサービスや事業が伸びていくことを目指しており、実業に則していると思いました。

 

英国のAIの強みはデータの利用環境にある

 

——米国のシリコンバレーと比べて英国はどうですか?

マイクロチップ英国ではベンチャーキャピタル(VC)や起業家のテクノロジー信仰はそれほど過剰ではありません。シリコンバレーでは狂信的にテクノロジーを信じている人が多い。

時代感覚として、これまでの英国は金融に強い国として知られていたが、これからはデータ産業へと大きく覇権が変わるように思います。そういった大局観を背景に、英国全体が戦略的に動いているように感じました。

 

 

——日本もスマート社会などデータを重要視しているように見えますが。

日本はこれまで製造業、半導体、家電、携帯電話などで世界シェアをとってきたはずなのに、いつの間にか韓国や台湾にやられてしまいました。危機感が強くなっており、後追いで「データ」「人工知能」と叫んでいるように見えますが、そこには明確な戦略がない。英国がデータで世界をとるという現実性と、日本がデータで世界をとるという現実性はだいぶ違うと感じます。

 

——日本の障壁は何でしょうか?

日本は様々な障壁があり、例えば、医療データが共有できていませんが、英国では大学と病院が一緒に組んでいます。世界を見渡すと、中国のような巨大な国はデータを重視した取り組みを始めています。しかもスピードが極めて早い。米国は、シリコンバレーを中心にイノベーションの生態系が成熟していますし、GoogleやAmazon、Facebookのような巨大企業がデータの活用をけん引しています。

そういったなかで、英国は欧州の中で意見をまとめる立場にあり、米国に対しても団結すると強くなります。また公的機関のデータ、医療データや、テロリストの顔認証データなどより実用的なデータを利用しています。

 

英国との連携がますます大事になる

 

——今回の英国視察プログラムを通して感じられたことを日本でどのように生かしていこうと思われますか?

日本の企業と英国の大学との連携や、自分たち(東京大学)と英国の大学との交流などを進めなければならないと感じました。

AlphaGo私はAIとディープラーニングとは区別していますが、英国では広くデジタルによるイノベーションと捉えているようです。AIという研究分野は昔からありますが、ここ最近の技術的なブレークスルーは、ディープラーニングによるものです。これまでのAIは学習に浅い関数、例えば線形な関数や多項式関数などを用いてきました。それが入力から出力まで階層を経た深い関数を使えるようになり、表現力が極端に上がりました。それが囲碁でプロに勝つというような現象につながっています。

 

日本としては、この技術とハードウェアの組み合わせがほぼ唯一の勝ち筋だというのは、今回の英国訪問を通じて改めて感じました。

 

国際技術ジャーナリスト 津田 建二

 


英国の人工知能(AI)研究の強みと日英コラボレーションの可能性を探るInnovation is GREATブログの連載『英国のAI最前線』。本記事は第3弾としてお届けしました。前回の記事は下の関連記事よりご覧いただけます。

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