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AIといえば英国!大使館主催イベント開催レポート パート3

  • 25 October 2018
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2018年9月3日(月)に英国大使館で開催されたイベント、「人工知能セミナー:ディープラーニングとロボット」の第3弾をレポートします。今回は、最近話題のベイズ理論にディープラーニングなどを組み合わせ、「不確実なものの確実性」を高める研究を進めるヤリン・ガル氏の研究をご紹介します。

 

ベイズ理論を利用して、不確実なものをより確実に

 

オックスフォード大学コンピュータ・サイエンス学部の准教授で、機械学習を専門とするガル氏。ケンブリッジ大学のベイジアン・マシンラーニングの世界的な大家、ズビン・ガラマニ教授の研究メンバーを経て現職に就き、アラン・チューリング・インスティテュートの特別研究員も務めています。最近、人工知能(AI)領域でよく聞かれるようになったベイズ理論を応用し、不確実なもの、判断つきかねるものを高い精度で推定する研究を進めています。

 

ベイズ理論とは?

ベイズ理論は、18世紀の英国人牧師トーマス・ベイズが提唱した「ベイズの定理」に端を発するもの。ごく簡単に説明すると、「すでにある情報(データ)によって、これから起きる事象の確率がどう変化するのかを導き出すための定理」となります。この定理から発展したのがベイズ理論で、「問題や状況を、互いに関連した因果関係としてネットワーク化するための数学的な原理」などと定義されています。数式で表すと難解なのですが、たとえば「過去の台風についての進路、規模、気圧などの膨大なデータを利用し、発生したばかりの台風の今後について高精度で予測できるようにする」といった応用が可能になる理論とされています。

 

講義をするヤリン・ガル氏(オックスフォード大学、コンピュータ・サイエンス学部マシンラーニング准教授)

講義をするヤリン・ガル氏
(オックスフォード大学、コンピュータ・サイエンス学部、マシンラーニング准教授)

英国はベイズ理論に基づく機械学習研究が盛んで、経済、臨床医学、気象、地球温暖化といった、様々な分野で応用が試みられています。今回、ガル氏はまず「私の研究では、ベイズ理論とともにニューラルネットワークによるディープラーニングを利用しています」と話し、似たような犬の写真がたくさん並んだ画像や、皮膚がんにもホクロにも見える写真を見せながら「たとえば、同じように見える犬の犬種を特定したり、病理医が診断に迷うめずらしいがんの種類を突き止めたり、皮膚がんなのかそうでないのかを判断したり、といったことを可能にします」と紹介しました。

 

 

 

ニューラルネットワークとは、私たちの脳が様々なことを経験、学習することによって、神経細胞同士の結びつきを強め、より良い神経回路を作る仕組みを真似た数理モデル。何もできなかった赤ちゃんが失敗を重ねて歩いたり、しゃべったりできるようになるのと同じように、コンピュータにも学習させて最適化させようというのです。

 

さらにガル氏は「同定や判断だけでなく、ハワイのマウナロアの二酸化炭素濃度の推移といった、将来の予測も可能です。また、あいまいの度合いが大きいもの、モデル化が難しい情報などを、人間が使える状態に加工することもできます。たとえば、ノイズが多いデータからノイズを除いて復元する、写真データから車と道を瞬時に見分けてドライバーに警告を出すといったような感じです」と続けました。

 

終盤は、紹介したような技術が実用化されれば人件費や時間が大幅に節約できること、課題は、情報が少ない事象でも確実な判断や予測を可能にする学習法の開発にあると述べ、「ただし、こうした技術が悪意をもって操作されることのないよう、安全性も十分考慮しなくてはなりません」と結びました。

 

サイエンスライター 西村 尚子

 


 

英国大使館は、英国のテクノロジー・コンサルティング企業のケンブリッジ・コンサルタンツ社に、英国のAIの強みに関する調査レポートを今年はじめに委託しました。日本語版の調査レポート全文が下記フォームより無料ダウンロードいただけます。英国のAIエコシステムの発展と成功の裏にある2つの要素、そして分野ごとの特徴と強みについての最新情報をぜひご覧ください!

 

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