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欧州照明市場へのゲートウェイとしての英国

  • 04 February 2016
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「欧州照明市場へのゲートウェイとしての英国」セミナーの様子

2016年1月19日(火)、「欧州照明市場へのゲートウェイとしての英国」セミナーが、大阪市中央公会堂で開催されました。

 

登壇したのは、Revo Media Partners社 ダイレクターのゴードン・ラウトリッジ氏、株式会社 遠藤照明 海外本部長 村上浩二氏、dpa lighting consultants Japan LLP パートナー 川端章彦氏の3名です。英国における照明の専門家、英国に進出した企業、英国企業に所属する照明デザイナーとしてのそれぞれの立場から、日本企業が英国に進出する意義や現地の事情などについて熱く語りました。

 

 

「英国・欧州における照明・LED最新情報と日本企業へのビジネス機会について」ゴードン・ラウトリッジ氏

Revo Media Partners社 ダイレクター ゴードン・ラウトリッジ氏

Revo Media Partners社 ダイレクター
ゴードン・ラウトリッジ氏

ゴードン・ラウトリッジ氏は、約20年間照明産業のビジネスに携わっており、現在は照明専門誌の発行人や、英国で開催される照明トレードショーのイベントディレクターでもあります。さらに、照明業界を対象にプロダクト&マーケティング戦略や販売チャネルの構築、アプリケーションの助言などのコンサルティング活動を続けています。

 

 

 

 

 

 

照明市場の3つのトレンド

世界の照明市場では、LED照明の普及が急速に進んでいて、この流れは2020年まで続くと予想されています。ラウトリッジ氏によると、業界の牽引役となっている要素は「エネルギー価格の上昇」、「発電所数のキャパシティ」、そして「環境規制の強化」の3つだと言います。これらが追い風となり、従来型の照明からLED照明への置き換えが国の方針として進められているのです。

 

一方、課題もあります。それは、「LED電球の価格低下」と「市場の飽和」です。LEDは長寿命なので、一旦導入されると長期間交換の必要がないのです。

 

では、LEDが十分普及した2020年以降、市場は縮小してしまうのでしょうか?ラウトリッジ氏は、それを避けるために必要な「再革新」として3つの要素を紹介します。

 

1つ目は、「照明の役割がIoT(モノのインターネット)により大きくなってくる」ということです。IoTとは、情報通信機器だけでなく、世の中にある様々なモノに通信機能を持たせることにより、自動認識や自動制御などを行うことを意味する言葉です。例えば、自動車、電球、サーモスタット、ドアロックなどがネットにつながることで新たなサービスの可能性が広がります。ラウトリッジ氏は、IoTが現在進行中のメガトレンドであり、様々な産業をまたいで伸びていくと述べます。そして、2025年までに200億のデバイスがインターネットにつながると予想しています。

 

2つ目のトレンドが「照明と健康」です。可視光線が人の健康に良い影響も悪い影響も与えうるということがわかってきたと言います。また、学校でも照明によって生徒の注目度やパフォーマンスに差が出ることがわかってきています。

 

3つ目のトレンドとして「LEDはサイズが小型なため、いろいろな応用が可能」だという点を挙げます。つまり、いろんな建物やモノと統合して使うことができます。これらの新たな技術や再革新により、LED市場にも成功のチャンスがどんどん生まれてきています。

 

英国の照明市場

2014年度の欧州の照明市場は約130億ポンド、その中で英国は2番目に大きな25億ポンド相当の市場規模を持っています。また、数多くの大手製造業者が英国に拠点を構えるほか、照明業界のグローバル企業のセールスやデザイン部門がロンドン近郊に集まっています。ここ13年ほどの間に、英国では中小規模の企業がどんどん生まれており、デザインやプロジェクトに大きな能力を発揮しています。これを魅力と感じた多くの国際的な企業が英国に拠点を置くようになってきたのです。

 

これだけではなく、英国では照明業界団体の活動も活発で、企業へのサポートを行っています。日本企業が英国や欧州市場に参入を考えている場合は、"Lighting Industry Association"が力になってくれるだろうと言います。

 

英国と欧州における基準と規制

日本と同様、英国および欧州にもさまざまな基準や規制が存在しています。CEマークやENECマークはよく知られていますが、規制とは別のレイヤーの基準としてEuP指令(欧州指令)があります。これは、照明機器に対して、エネルギー効率の最小限の基準を定めた法律です。また、WEEE指令とは、リサイクルに関する指令で、製品の寿命が来た時には、企業が責任を持ってリサイクルをすることを定めています。また欧州には、アプリケーションに対しても様々な基準があります。さらに、国ごとにも異なった法令があります。当然、英国および欧州に進出する企業にはこれらの規制を熟知することが求められます。この点に関しても、他の業界のコミュニティが助言や示唆を与えてくれるはずです。

 

最後に、日本の照明企業に英国が提供できる機会は次の3つだとラウドリッジ氏は締めくくります。1つは英国がグローバルな照明デザインやスペックに対するハブとなっているとういう点で、そこへのアクセスが容易であること。そして、コンパクトなロケーションに活発な照明のコミュニティが集まっていること。さらに、IoTという新しい革命が起こるなか、照明業界以外の企業とのコラボレーションがどんどん生まれている点です。

 

「照明業界は人がベースになっているビジネスであるということが非常に重要だ」とラウドリッジ氏は言います。「建築家、デザイナーをはじめ、そこに関わる人々との関係が非常に大切で、英国では、こういった人間関係を構築するという面で大きなサポートができることを覚えておいてください」と強く語りました。

 

「日本企業からみた英国・欧州照明市場」村上浩二氏

村上氏は、遠藤照明の海外本部長として、海外事業に従事しています。遠藤照明では、5年前に米国でICON Internationalという照明企業を買収しました。また、2年前には英国のAnsellを買収。同社はホールセラーを対象に照明器具を販売しています。現在英国では、LED照明が急速に普及しており、その成長トレンドを捉えることで急速に伸びている会社だそうです。

 

こういった体制でグローバル展開を行っている遠藤照明ですが、「その国にはその国の規格があるので、話はそう単純ではない」と村上氏。最も難しいのはアメリカのUL規格で、日本から製品を持って行き、売ろうとしても非常に手間がかかります。そういったこともあるので、「現地企業の買収を行うことには大きな意味がある」と言います。

 

では、投資の対象としての英国を、村上氏はどう分析するのでしょうか?良い点として、「ロンドンを中心に多くのプロデザイナーや建築家がいること」、「企業家が多く、M&Aの対象となりうる会社が多い」、「ロジスティクスが発達している」、「英語が通じる」、「英国貿易投資総省の強いバックアップ体制」などを挙げました。

 

反対に悪い点は、「競争相手となる有名ブランドが多い」、「物価が高い」、「欧州の市場では、受注後1~2週間でのデリバリーが要求される」などを指摘しました。

 

世界情勢を見ると不安な面もあるものの、英国でのLEDの販売拡大は続くと予想する村上氏。また、欧州の他国に比べて進取の気質もあり、M&Aとなる企業も多いことから、「海外展開を考えておられるなら英国はいかがでしょう」と締めくくりました。

 

「自然光と照明デザイン」川端章彦氏

dpa lighting consultants社 パートナー 川端 章彦氏

dpa lighting consultants社 パートナー 川端 章彦氏

川端氏は、英国に本社を置くdpa lighting consultants社で照明設計を行っています。ロンドン、オックスフォードシャー、ドバイ、大阪にオフィスがあり、60名が籍を置いています。

 

同社では、スタッフが照明設計のスキルを上げるために、自然の光を見ることで想像力を養うのだと言います。例えば、同じ太陽であっても沈んでいく夕陽と、富士山の頂上にかかる太陽では感じ方が変わります。また、月の明かりは太陽光の間接光と言えるものですが、同じ月の明かりでも樹木が間に入ってシルエットになるとそこにいろんなイメージやストーリー性が生まれます。

 

このように、様々な自然光の表情を観察することで、素材との関係性やシルエットが及ぼす影響、光源と周辺環境との関係性など、何気ない光景の中にも多岐に渡る光の文脈が読み取れるのだと来場者は気づかされました。

 
 
その後、国内外の有名ホテルやレストラン、ワインセラーといった川端氏の作品が紹介されました。川端氏の光に対する捉え方を聴いた後に見る作品群はどれも印象的で、陰影がもたらす空間作りの妙に多くの来場者は心を動かされていたようでした。

 

セミナー後は質疑応答の時間が設けられ、英国および欧州の照明市場に関する出席者から活発に質問が寄せられ、講演者による真摯な回答の後、閉幕となりました。

 

ライター 田中 実典

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