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英国認知症研究所が切り拓く新たな認知症研究

  • 21 September 2017
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毎年9月21日は「世界アルツハイマーデー」、9月は「世界アルツハイマー月間」です。

 

患者のカルテと医師の聴診器1994年に国際アルツハイマー病協会が世界保健機関と共同で記念日として制定して以来、世界中でアルツハイマー病の啓蒙や支援イベントなどが行われています。1994年9月21日、スコットランドのエジンバラで第10回国際アルツハイマー病協会国際会議が開催され、会議の初日であるこの日が「世界アルツハイマーデー」と宣言されました。英国はその頃からこの課題を重視し、近年では、2012年に「Dementia Challenge」という認知症研究およびケアなど広範囲にわたる首相イニシアティブをスタートさせ、2013年にはG8議長国として初の「認知症サミット」を開催し、国際的取り組みを牽引してきました。

 

英国認知症研究所—革新的イノベーションを実現するために
ご存知のとおり、認知症は現在社会が直面する最も困難な医学的・社会的・経済的課題の1つです。英国では85万人もの人々が認知症を抱えており、国民の高齢化によってその数はますます増加しています。2025年にはその数が100万人に達し、2051年には200万人にまで増加すると推計されています。しかし、認知症研究とその実用化はその他の分野に比べ遅れをとっています。

 

このような状況に変化をもたらすための英国の方策の1つが、首相イニシアティブの柱の1つである英国認知症研究所(UK Dementia Research Institute、以下UK DRI)の設立です。昨年末、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(以下UCL)とルーヴァン大学で教授を務める神経科学領域の世界的第一人者であるバート・デ・ストルーパー教授がUK DRIのディレクターに任命されました。UK DRIは、世界有数の優れた研究資源へのアクセスと緊密な連携を実現し、世界をリードする認知症研究者を集結させることで、認知症という重大な課題に対する革新的な技術的・知的アプローチをもたらし、新たな境地を切り拓こうとしています。

 

UK DRIディレクターとアソシエイト・ディレクター

UK DRIのディレクターと
5人のアソシエイト・ディレクター
©UK DRI

UK DRIには、2億5千万ポンド(約358億円)もの資金が、英医学研究会議(MRC)、英アルツハイマー病協会、アルツハイマー・リサーチUKの3団体から提供されます。UK DRIを構成する6つのセンターは公募で選ばれ、ケンブリッジ大学、カーディフ大学、エジンバラ大学、インペリアル・カレッジ・ロンドン、キングス・カレッジ・ロンドン、そして本部はUCLに設立されます。UCLではUK DRIのディレクター、その他のセンターではアソシエイト・ディレクターをトップとし、共通の目標達成のために研究に取り組みます。

 

 

 

学際的な認知症研究、複数のセンターの連携により構成される研究プログラム、そして研究成果の実用化という共通の目的意識がUK DRIの原動力となります。異なるセンターやラボラトリー間でも研究者が互いにつながりを持つように構成され、アイデアやツール、技術、研究データが共有されます。UK DRIのセンターと研究チームは、それぞれのスキルと相補的専門性をもとに選ばれていますが、認知症の克服という目的を達成するため、柔軟性をもって全ての優れたアイデアや研究シーズを活用して優先テーマが特定されます。

 

UK DRIは、アルツハイマー病、パーキンソン病、前頭側頭型認知症、血管性認知症、ハンチントン病などを含む全ての認知症に関する研究をカバーします。あらゆる種類の認知症の発症と進行について研究することで、異なる神経変性疾患の共通点を特定し、同時にそれぞれの認知症に固有の特徴を区別することができます。そして、生物学的メカニズムの基礎に注目することで、現在の認知症の基礎的な理解のギャップを埋めていき、新たな技術や学際的アプローチを取り入れることにより、創薬の新たなターゲットに結びつく知識の構築、疾病のより良いモデル開発、モデルを用いた認知症の基礎的な分子的・構造的基盤の解明、そしてそれらの研究成果の診断・治療・ケアへの橋渡しを加速化します。また、対象となる患者グループにより効果的な臨床試験を実現するための新たなアプローチも開発します。

 

異なる分野、国内外の研究所を結びつける中核研究拠点として
UK DRIは既存の優れた認知症研究基盤との連携を重視しています。既存のトランスレーショナル・リサーチ、臨床研究、ケア研究施設との関係を強化することで、UK DRIの科学的研究成果の可能性を最大限まで広げます。また、チャリティ団体や国内外のパートナー機関はUK DRIのミッションの鍵となる重要な存在です。バイオ医薬品、診断、デジタルセクターとも協働し、認知症の人々を支援する新たな治療やツールの開発を目指します。

 

UK DRIは認知症の影響をできるだけ少なくするため、予防もしくは発症を遅延させる方法についての研究にも注力します。そして、2018年からは新たに任命されるアソシエイト・ディレクターのもと、認知症の人々のためのより良いケアを中心とした新しい研究分野が統合され、認知症の人々や介護者のためにより効果的なケアやサポートを実現を目指します。

 

科学者や臨床医がこれらの意欲的な目的を達成するために、UK DRIは一般市民や認知症の人々に研究に参加していただくことが不可欠である考えています。研究方針や進展を公開し、フィードバックを求め、幅広いコミュニティとの緊密な関係を築くことで、研究への更なるモチベーションを維持します。

 

UK DRIの6つのセンター

UK DRIの6つのセンター
©UK DRI

 

そして今秋、6つの全てのセンターにおいて基盤となる研究プログラムを開始し、大規模なリクルートメントを実施します。UK DRIでは優れたプログラムリーダー、リサーチフェロー、ポスドク、技術者、サポートスタッフを募集し、最終的には7~800人のスタッフを抱える認知症研究・イノベーションの中核となるグローバルセンターとして、2020年までの本格稼動を目指します。そして、革新的イノベーションを生み出すため画期的な研究成果をいち早く実用化し、世界中で認知症の影響をうける多くの人々に迅速に届けることを目標に研究開発を推進していきます。UK DRIのリクルートメントについては、こちらをご覧ください。

 

駐日英国大使館 科学技術部 吉田祥子

 


 

駐日英国大使館・総領事館 科学技術部(SIN Japan):
SIN Japanは、世界28カ国に展開する英国政府のScience and Innovation Network(SIN:科学イノベーションネットワーク)の日本オフィスです。科学やイノベーションの重要テーマに係わる最良の政策ソリューションの導入、新規の日英共同研究開発や、企業または資金援助機関からの助成金獲得、貿易・投資機会の創出など、多方面から日英連携をサポートしています。

英国の研究者との連携、イノベーション・パートナーシップにご関心をお持ちの方、またSIN Japanの活動に関するご質問やご提案などがございましたら、こちらまでご連絡ください。

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