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日英量子技術ワークショップレポート

  • 28 October 2015
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国立研究開発法人 情報通信研究機構 佐々木雅英氏

 

2015年3月23日(月)、駐日英国大使館にて「UK – Japan Quantum Technology Workshop(日英量子技術ワークショップ)」が開催され、両国の量子技術分野における取り組みの現状が紹介されました。また、今後共同で国際的イニシアティブをとっていくための枠組み立ち上げに向けた意見交換を行いました。

 

本ワークショップは、2014年11月に日英それぞれで大型プロジェクト(UK National Network of Quantum Technology Hubs、および内閣府の革新的研究開発推進プログラム ImPACT)が立ち上がったのを受けて開催されました。英国のプロジェクトである国立量子技術ハブネットワークは、バーミンガム大学、グラスゴー大学、オックスフォード大学、ヨーク大学の4つのハブから成ります。

 

バーミンガム大学は量子計測標準技術、グラスゴー大学は量子センサー・イメージング技術、オックスフォード大学は量子コンピュータとシミュレーション技術、ヨーク大学は量子通信技術の研究開発に取り組みます。量子技術分野で最先端を走る、英国をリードするこれら4つのハブは、今後英国内17の大学と132の企業をネットワークでつなぐ拠点となります。ハブ整備には、同ネットワーク予算2億7千万ポンド(約513億円)から5年間で1億2千万ポンド(約228億円)の資金が投入されます。英国政府は、この投資で量子技術分野での主導的地位を確実にし、通信、メディカル、安全保障など数兆円規模にもなる世界市場の形成に向けた取り組みを先導すると宣言しています。

 

このように技術開発に野心的な英国と、量子暗号技術で世界を一歩先行く日本が率先して協力関係を結び、量子技術の早期製品化、長期的最先端研究の持続を実現することを目指しています。ワークショップでは、このための具体的な取り組みや工程を確認し、今後の共同イニシアティブの枠組み確立に向けた課題が議論されました。

 

具体的な取り組みとしては、日英政府間レベルでの量子技術の共同イニシアティブの合意、2016年春に東京で調印式の開催、ロードマップや実施事業についての記者会見、技術ワークショップの開催などが今後のアクションアイテムの候補として確認されました。

 

量子技術は金融や医療など民生分野だけでなく、国家安全保障分野でも活用が期待されるため、政府間レベルの合意では両分野への出口も考慮しつつ、共同可能な取り組みについて検討を行う必要がある等の意見が紹介されました。

 

学際共同研究の必要性についても意見がありました。量子技術が理論だけではなく、現実に利用されるためには、現在のOSやインフラとの整合性も高めていく必要があります。それに向けた旗印の候補として「ポスト量子暗号」技術が挙げられます。これを構成する「ポスト量子公開鍵暗号」と「量子鍵配送(QKD)」の実装には、量子アルゴリズムや量子コンピュータなど、他分野との学際共同が不可欠です。量子技術と暗号技術の学際研究は、量子コンピュータによるRSA暗号解読に興味のある企業を惹きつけられるのではないかなど、様々な発言がありました。

 

また、今後の技術開発継続のためには、若い研究者・技術者の育成が不可欠として、若手育成方法に関しても意見がありました。英国ではハブを中心にネットワークの大学において、院生や博士号取得後の研究者向け訓練施設が整備されていますが、交換留学を利用して、若手研究者を互いの国で訓練するなどのアイディアが示されました。

 

このように、ワークショップでは多様なテーマで意見交換が行われました。今後は、ImPACTの他、日本の関連プロジェクトにも声を掛けながら、All JapanとUKのパートナーシップの確立に向けて取り組んでいきたいと考えています。

 

国立研究開発法人 情報通信研究機構 佐々木雅英

 

本記事は下記ニュースレターより転載(一部編集):
2015年10月21日(水)配信
革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)
No. 16 September 「量子人工脳を量子ネットワークでつなぐ高度知識社会基盤の実現」ニュースレター 量子ニュース

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